藤北パラダイス 〜短編集〜

・ ページ22

「じゃあお熱測って？」









『……やっ…やだぁ…….。』









寒くて布団から出るのが嫌なのか、弱々しく抵抗してるけど、ひろの今の状態は知っておかないと。









「わがまま言わないの。ほら、手ぇ上げてぇ〜？」









『むぅ〜〜、やっ…….。』









[俺は子供じゃねぇ！]みたいな返事が返ってくると思ったら本当に子供みたいに膨れっ面しながら駄々をこね始めた。









やばい……。可愛いなぁ。









「はいはいダ〜〜メ。そんなにわがまま言ってると太P、わたの所行っちゃうぞ〜〜？」









『……ふぇっ？……行かないでぇ……。』









……あれ？









冗談で言ったけど、真に受けて泣いちゃった(笑)









ひろは熱出すと素直になるんです。









「嘘だから〜♪ほら、体温計っ。」









『よこーさんのとこ行かない？』









「行かないよ(笑)」









そう言ったら安心したのか、ふにゃっと笑ったひろが可愛くて少し面白い。









ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ……









「どれどれ？」









「３８.６°c!?」









高っ！







『昨日から……頭は痛くて……。』









「何で言わなかったの？」









『だって……心配掛けたくなかったし……自分でも大丈夫だと思ってたから…。』









「そうやってすぐ強がるんだから。俺はひろの彼氏だから、彼女の看病するのは当たり前でしょ？」









『///熱上がるからやめろぉ…///』









もうとろけそう。これ元気だったら完全ににゃんにゃんだな。

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