三角形。２【Ryosuke × Kei】

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”もう遅いから………先帰れよ”







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涼介のそんな言葉に、伊野尾くんと２人で帰っている。







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慧『………もう、平気なんだね』







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道に転がっている小さな石を蹴りながら、

伊野尾くんが独り言のように呟く。







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『何が…？』







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なぜだか分からない胸のモヤモヤに、

伊野尾くんと目を合わせづらくて。







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慧『山田のこと』







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伊野尾くんの足に蹴られた石が、

ぽちゃんと音をたてて側溝に落ちる。








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『っ………』







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慧『あんなに傷つけられたのに、
平気で仲良くするんだね』







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斜め上から聞こえる伊野尾くんの声色は

なんだか少し、いつもと違う。







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『別に、そういうわけじゃ』







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慧『なんであんな奴に、優しくするの？』







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歩くのをやめ、体ごとこちらに向ける伊野尾くん。







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まっすぐに向けられた視線には、

いつもの穏やかさがなくて。







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『あんな奴って…、』







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『涼介は、伊野尾くんが思ってるような人じゃない』







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涼介が前を向こうとしているのに

伊野尾くんにバカにされたのが、許せなくて。







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つい、言ってしまった。







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でもそれは、恋愛感情とかではなくて。







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すると伊野尾くんは、

驚いたような、呆れたような、悲しそうな。






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なんとも言えない表情をして、







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慧『………Aちゃんのこと、わかんない』







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それだけ残して、先に帰ってしまった。







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