三角形。２【Ryosuke × Kei】

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涼介『なんでこんなのやらなきゃいけねーんだよ』







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机の上に乱雑におかれた問題集を睨みながら、

涼介が言う。







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”わっかんねぇ…、”







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そう悪態をついているけれど、

シャーペンを持つ手はすらすらと動く。







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『………頑張ってね』







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先生からは、教えてやれと言われている。







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だけど実際、ここ数日の涼介は

人が変わったように何事にも意欲的で、







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＿＿＿小さいときの涼介が、頭にちらつく。







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涼介『………どうなの？』







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『え…？』







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視線は下のままで、言葉だけをかけられる。


　




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『どう、って？』







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涼介『………伊野尾の、こと』







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２人きりのがらんとした教室に、







涼介が発した”伊野尾”という文字がふわっと浮かぶ。







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『伊野尾くん？』







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窓は閉めているはずなのに、

すきま風が２人の間をすり抜ける。







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『なんで…？』







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涼介の口から初めて聞く伊野尾くんの名前に、

驚きを隠せなくて。







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それと同時に、胸が鼓動を刻むのを感じる。







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涼介『お前ら最近仲良いからさ、………』







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どうしてそんなに悲しそうな顔するの？







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『伊野尾くんとは、』







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”何もないよ。”

そう言おうとしたけれど、







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「あれぇ？こんなとこで………何やってんの？」







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大きい声に遮られ、涼介に話せなかった。







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