優しさ。 ページ7
日中は滅多に誰も来ない北階段。
なかなか落ち着かない心を必死で落ち着かせようと何度も何度も試みた。
けれど、一度ぐちゃぐちゃになった心は、なかなかキレイには戻ってくれなかった。
“Aちゃん？”
顔を上げると困った顔をした相葉先生。
雅紀「…こんな所でどうしたの？」
私の隣にしゃがみこんだ相葉先生が、私の頭にそっと手を添えた。
その掌は大きくてあったかくて、止まりかけた涙は再び溢れだした。
雅紀「えっ!?あっ…ど、どうした？あっ、ハンカチねぇーや。」
A「大丈夫です、大じょぶ…です、から。」
雅紀「全然大丈夫じゃないでしょ？目の前で女の子が泣いてんのにほっとけないよ。」
相葉先生は私を優しく包むように、後ろから抱きしめてくれた。
A「だい、じょぶです…からっ。」
いくら誰も来ない北階段でも、誰かに見られたら私だけじゃなくて相葉先生に迷惑がかかる…
振り解こうとしたその手は、あっけなく相葉先生の力強い腕に押えられた。
雅紀「俺が大丈夫じゃないの。」
首筋に感じる相葉先生の息がすごく優しくて温かかった。
私の泣き顔を見ないようにと後ろから抱きしめてくれたのは、相葉先生の優しさ。
今はちょっとだけその優しさに甘えてもいいですか？
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作者名：晴日。 | 作成日時：2012年7月14日 21時
