ところで、ジュピター(赤)

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次の日

目覚めると、隣にすばるくんがいて
すーすー寝息を立てていた。


かわい。

かわいいっ。



下唇を人差し指でそっと触ってみた。


薄めの下唇。


「…んん」


「ごめん、起こしちゃった」


「…おはよ」



手で目を擦り、そのまま私を抱き締める。




「朝起きたらAさんがおるってええな」




「…すばるくん」





「あー、帰りたない」





「さすがに帰らなきゃ…」




「分かってる」



「また…会える？」



「…当たり前やん。いつだって会いたい思うてる」




。


ホテルを出て別々の電車に乗る。

明日また会社で会える、

分かってるのに

とても寂しくて帰りたくないな。




ガタンゴトンと揺れる電車。

最寄り駅に着いた。


そこから歩いて家に着く。



お父さんの車が無い代わりに
お兄ちゃんの車があった。




「ただいま…」




わんわん、と尻尾を振って擦り寄る大型犬のサティ。




『…おかえり』



「ただいま、お兄ちゃん」



『…朝帰りか？まぁ、もう昼か(笑)』



「…えっ、あ、玉ちゃんのとこ泊まってきた」




『メシは食べた？』



「まだ。お父さんとお母さんは？」




『講演会行ってる。メシは俺作るわ』





「やった」




リビングに行くと
お兄ちゃんが読んでたであろう経済新聞とコーヒーが置いてあった。



「お兄ちゃん家にいるの久しぶりじゃない？」



『そうか？Aが家に居ないからじゃないのか？』




テレビを付けると祝日の月曜日。
普段見ない昼のワイドショーがやっている。



『オムライスでいい？』



「わーい！」



お兄ちゃんは3つ上。

昔から私には激甘で。

両親が仕事が忙しくて家に居ないと
こうやってご飯を作ってくれたり
外へ食べに連れて行ってくれる。


だから余計に私は料理が出来ないのだ、と言い訳してみたりもする。


玉ちゃんに習わなきゃなぁ。



『出来た』


ダイニングテーブルに置かれたオムライス。


ピコン、とLINEが鳴る。

すばるくんから、家着いた、とのメッセージ。




おかえり、とスタンプを押す。




『オトコか』




「えっ、なんで」




『顔に出過ぎ』




ニヤリと笑うお兄ちゃんはスプーンを私に渡した。

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