スパンコールな波際で。(緑)

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カナエが何故か嬉しそうに手を伸ばしてきたけど、お前のために買ったんちゃうよ。




「これは俺のお土産用」


『あ………そうなんだ』




カナエが手を繋ぎたそうに手を伸ばして指に触れてくる。

なんなん？

俺そこまでするなんて一言も言うてへんしな。

触れた瞬間ポケットからスマホを取り出して、Twitterをチェックした。




『大倉くんっ、待って！』


「ん？」


『写真、写真撮ろ？』



足を止めたら
自撮りで精一杯背伸びして俺とのツーショット撮りよるから
しゃあないなぁと少しだけ屈んだ。


カシャっと音がして
1枚でええやろ？って思うたら
カナエが頬を寄せてきた。




「調子乗んな…よ」



『たーくん！』




「Aちゃん」




カ『大倉くん…いこ』



「帰るわ」


カ『えっ』


「ほな」


カ『大倉くん！』



Aちゃんに声を掛けられて
これはアカンと思い
呆然とするカナエを他所に
家に帰った。




まだまだお祭りに向かう人の波に逆らいながら


『大倉くん〜来てたの？』

「今、帰るとこ」

何人もの女子に声を掛けられたけど
ほぼスルーして。

Aちゃんの部屋の電気はついてへん。

まだ帰ってないんかな？

自分ちの門の所に座って
Aちゃんが帰ってくるんを待つ。

その間にTwitterは
カナエが勝手にツーショットを意味ありげに上げてて、色んな奴らからリプを貰ってた。



うっざ。


だから、ガキは嫌いやねん。

リムブロしたろ。


『あれぇ、たーくん？』


「1人で帰ってきたん？」


『うん。彼電車で帰ったよ、どしたの？』



「これ、Aちゃんにやる」




右腕を伸ばして
Aちゃんに突きつけた大きなビニール袋。




「好きやろ？綿菓子」


『好き！ありがとう〜』


「ええよ」


『たーくんの彼女可愛かったね』



「は？」


『いい子そうじゃん』



「彼女ちゃうし」


『隠さなくてもいいのに〜』


「アホ。ちゃう言うてんのに何で分からへんねん」


『誰にも言わないからお姉さんに言ってごらん』


「…Aちゃんのドアホ！！！」



『…ん？』



「もうええわ！」


『おやすみー！』



Aちゃんのど阿呆！！
あんなん彼女ちゃうわ！！
なんで

なんで分かってくれへんの？

俺はAちゃんの恋愛対象にはならへんの？



ああ、まだまだ
恋愛対象にすらならへん自分に凹むわ。

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