スパンコールな波際で。(緑)

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忠義は仮免で1度落ち
本番の学科で落ち
ヒーヒーいいながら何とか免許を取った。




「へへー！やっと取れた！」



『おめでとうー！初心者マーク買った？』



「はっ！まだ買うてへん。よし買いにいこ！Aの車運転させて」



『え、私の車さ、保険が本人限定だから忠義運転出来ないよ？』




「本人限定ってなに？」




『車のね、任意保険なんだけど。私だけが運転するからってことで保険料が少し安くなるの』




「そんなんあんねや」






『そうなの。おじさんの車運転させてもらったら？』



「お父ちゃん車仕事で使うねん」






『…そっか』



「免許取ったのに運転できやんーーー」



『あたし、保険変えよっか？そしたら忠義も運転できるし』



「えっ、いいの？」



『でも、車は貸せないよ。一緒の時だけ』


「そんなん当たり前やん」




『じゃあ保険切り替えしてもらお…』



「これで出掛けてもAお酒飲めるやん」


『えっ』



「いっつも我慢してたやろ？車の運転あるからって。これからは飲んでもええからな！」



頭をポンポンされて
そういうこと気にしてくれてたんだと
ちょっと擽ったくもなった。



『ありがとう』



って思ってたのに。






週の真ん中、夜にコンコンと窓を叩く音。




『なに？』


「なぁ頼む！明日車貸してくれへん？」



『…どういうこと？』



「大学の友達と出掛けたくて。でも俺しか車持ってへんねん」



『いや、忠義の車じゃないよ？(笑)』



「ええやん？なぁ、貸してお願い！」



『ねぇ、あのさ最初約束したよね？車は貸せないって』


「そんなん分かってるけど、でも明日どーしても必要やねんて」

『…何に使うの？』


「学祭で使うもの買い出しに行きたくて。結構でかいから電車もあかんし。荷物多なるし」


『学祭？』


「そう。大学の軽音サークル入ったんよ。その出し物的な？」



『いつの間に…』



「あれ？ゆうてへんかった？俺ギターも弾き始めてるんよ」


『初耳だねぇ』



「だから明日だけ。お願い車貸して？」



『明日だけだよ？』



窓越しに車の鍵を渡して。

「ありがとう！」と軽いキス。

「じゃあ明日早いからおやすみ」って


窓が閉められた。

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