10(完結) ページ9
24時になって
予約のバンドマンたちが来た。
受付で猫背で小さく座ってるすばるを
気にも止めないで
スタジオの中に入っていった。
すぐ1人ギターの男が出てきて
「A、練習終わったら一緒に帰ろ」
って笑って言う。
「ごめん。もう別れる。デビュー頑張って」
「えっ」
呆然とする彼を置いておいて
飲みかけの缶ビールと
すばるを引っ張って
ビルの3階の自宅に行った。
「オトコ捨ててきたよ」
「お前…めちゃくちゃやなぁ…でも嫌いやないで」
「…褒めてんの？ディスってんの？」
「褒めとるに決まっとるやろ。
あとな、俺は二股とかした事ないで。
そこ勘違いしんといて」
「…ずるい」
「…何が？」
「ギャップ」
「…は？」
片手間に音楽やってそうなのに
全身全霊で打ち込んでたり
遊んでそうなのに
二股したことないとか
一途っぽかったり。
体力ありそうなのに
肩でぜいぜい息をしてたり
大人なのに
たまに少年のような顔で笑ったり
子供みたいな顔したと思ったら
オスの目でキスしてきたり
それで雑なのかと思ったら
ものすごく優しいキスしてくるし
いちいち
ずるいんだよ。
「…よう分からんけどええわ」
「そうだね」
。
。
…完成した曲に
ハダカというタイトルがつくと知るのは
もう少し後のおはなし。
(終わり)
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作者名：sangozygo
| 作成日時：2017年7月8日 21時
