ら・ら・ら (赤) (ページ8)

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はぁはぁと

肩で息をする。

「あかん…キッつい…」

「そんな走った？」

「ビール重かったわ。ほれ」

缶ビールを渡されて。

「お金…」

「グラビのお礼」

二人で受付のカウンターに

並んで座って

プルタブ開けて

くぴっと飲む。

灰皿を渡すと

タバコとZIPPOをぽんと

カウンターの上に置いた。

「なぁ、お前オトコおんの？」

「いるよ」

「何人？」

「1人に決まってるじゃん。

すばるじゃないんだから。

でも、もうすぐ捨てられそう」

「なんやそれ」

器用にタバコを出して火をつける。

ZIPPOのオイルの匂いが

少し広がって

そのあと煙とともにかき消された。

「メジャーデビュー決まったから、

そろそろ捨てられる感じ。

バンドマンなんてそんなもん。

売れる前は優しいのに、

売れた途端捨てるから」

「なんちゅーオトコや」

「…バンドマンあるある」

「お前はそれでええんか？」

「良いも悪いも捨てられる方だから、
そんなの無いよ」

「俺は捨てへんで」

「口説いてるの？酔ってるの？」

「俺はいつだって真剣や」

「じゃあ、捨てられたらよろしく」

「待てへん。そんなオトコ捨てて俺んとここいや」

「…すばる」