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「ふふ、ん？」
眉毛を下げて笑いながら、こっちを見る智くん。
「ううん」
しばらく黙って歩いていると、「カッコ、悪くなかった？」と力のない声が聞こえた。
「アハッ、なんで格好悪いの」
「...」
「むしろカッコよかったよ、智くんは」
本気でそう思う。だから笑って、伝えた。
すると、手を引かれてギューっと抱きしめられる。
「、...」
私は、黙ってぽんぽんと背中を優しく叩いた。
体が離れて、視線がぶつかる。
「Aが彼女でよかった」
「、」
だから、こっちが泣きそうになるんだってば。
「私も智くんが彼氏でとても嬉しいよ？」
照れ隠しで笑いながら、そう言う。
智くんは、私の手をまた繋いで歩き出す。
「A」
「ん？」
智くんの顔を見ると、少し微笑んで優しい顔をしてる。
「おれたち、結婚しよっか」
慣れないその言葉に、一瞬時が止まる。
無意識に飲み込んだ唾の音が無駄に響く。
気づくと溢れた涙を見て、彼は優しく微笑む。
「泣かないでよ」
「だって...」
「アハッ」
その優しい表情を見る度に、好きが大きくなる。
安心感に包まれて、私は彼から離れることはもう出来ない。
「今度、一緒に指輪見に行こうよ」
今なら、智くんの言葉だったら、なんでも泣ける気がする。
「プロポーズの時に、指輪って用意してるものなんじゃないの？」
照れ隠しで泣いて笑いながら言う。
別に、それに憧れてたわけじゃないのに。
「ガラじゃないじゃんおれ、そんなの(笑)」
「アハッ、そうだね」
彼も恥ずかしかったのか、繋がれてる手をブンブン振る。いつもこんなことしないのに(笑)
「緊張した？」
「なにが？」
「結婚しよって言うの。手ブンブン振るから(笑)」
彼は「あー...」って言いながら苦笑いして、ブンブン振ることをゆっくりやめた。
だから今度は私がブンブン振り出す。
「智くん、結婚しよっかー！」
「アハッ！バカにしてる？」
「してないよ(笑)」
手のブンブンを緩めて、優しくゆらゆらさせながら歩く。
「おれ、Aの苗字になりたいな」
「えー、私は大野になりたいよ」
「えー」
「えー、ってなにこれ(笑)」
これからも、こうしてくだらない話を沢山していたい。
「智くんの指輪見るの楽しみだなぁー」
「なんでおれ？(笑)」
「だって、智くんの手綺麗なんだもん」
「...どこが？」
相変わらずな私たちの間に生まれてくる子は、どんな子なんだろう…。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
