第49話 ページ9
.
「え"っ!?結婚!?」
「うん」
「文句あんのか?」
あっけらかんと答えた私と左馬刻に、乱数は瞳をぱちくりとさせて、それから飴が溶けるように表情を綻ばせた。
「うっわ〜!え、マ ジじゃん!指輪してる!」
『見せて見せて!』と、子供のようにはしゃぐ乱数に左手を差し出すと、一層瞳を輝かせた。
「何これ、かっわい〜!泪に似合ってるよ!」
「本当に?ありがとう」
「S字ツイストリングとか、左馬刻やればできるじゃん!」
「ハッ、まあな」
TDD時代となんら変わりのない会話に思わず頬が緩む。
「あれ?ていうか、石付けてないんだね。左馬刻ならダイヤでもサファイアでも、おっきいの付けそうなのに」
突然、心底不思議そうな顔をした乱数に、私は微笑んでみせる。
「ううん、石は入ってるよ」
するりと指から指輪を抜くと、照明に反射して内側の一箇所が紅く光る。
それは、
「内側にね、ルビー」
左馬刻の瞳と同じ色をした紅い宝石。
どんな光も飲み込んで、自身の色にしてしまうような赤。
内側にはめられたその宝石を、指先で撫でる。
「へえ〜、左馬刻も粋なことするんだね」
「あ"?普通だろ」
『俺だけ知ってりゃいいんだよ』なんて言った左馬刻に、乱数が微妙そうな顔をしたのはここだけの秘密。
そんな二人を眺めながら、当初の目的を思い出す。
「あ、そうだ。今日ね、乱数にお願いがあって来たんだけど」
「なになに?泪のお願いならなんでも聞いちゃう!」
可愛らしい笑みを浮かべた乱数に、私もとびきりの笑顔を返した。
1485人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トーマ - ついに完結してしまった…これからも幸せでいてほしいですね〜もう一回全部読んできます、神作品をありがとうございました!!煉くんかわ…かっこいい、女の子の扱い方うまそう… 次の作品もたのしみにしてます! (2019年1月26日 9時) (レス) id: 886f42f433 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - 完結と同時にコメントしたかった・・・こんな幸せな作品をありがとうございました。他にもいろいろ言いたいことはあるけど、とても言い尽せそうにありません。なので、もう一度言わせてください。ありがとうございました。 (2019年1月25日 0時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 花蓮さん» ありがとうございます!!よかったです〜!たくさん読み返して頂けて幸せです!! (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございます!!想像の斜め上行けましたかっ!?楽しんで頂けたのなら幸いです!! (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 魔王さん» ありがとうございます!!素敵だなんてそんな…っ!たくさん読み返して頂けたら幸いです!! (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うすしおタルト | 作成日時:2018年11月28日 19時