第87話(レイスさんリク) ページ47
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「は？」
左馬刻の素っ頓狂な声がリビングに響く。
真ん丸に見開かれた真っ赤な瞳が愛おしくて、それから目を逸らさないで口を開く。
「私は左馬刻の家族のことを知ってる。だから、左馬刻がどれだけ『お父さん』になるのが怖いのかも知ってるつもり」
左馬刻の大きくて骨ばった手を握り締めながら、私は一つ息を吸う。
「だから私が左馬刻に教えてあげる…！」
左馬刻が怯えている世界は、愛おしさに溢れたものだよって。
「私のお父さんは、お母さんに内緒で甘やかしてくれる人だった。こっそりお菓子を買ってくれたり、夕飯を分けてくれる人だった」
優しかったお父さん。
「お母さんは、厳しかったかもしれないけど、私が間違った生き方をしないようにいつだって気にかけてくれていた」
強かったお母さん。
「なんてことない、どこにでもあるありふれた家庭だったけどそれってすごく大切なことだと思うんだ」
なんてことない幸せが、愛おしくて堪らない。
「左馬刻は、『自分にもあの家の血が流れてる』って言ってた。『いつか泪に手を上げるかも』って」
左馬刻がずっと隠していた胸の内を初めて知った瞬間。
「確かにそうかもしれない。血は争えないものなのかもしれない…」
そうだったとしても。
「それでも…っ！」
きっとそんなことはない。
「そう思える左馬刻は、世界で一番綺麗だと思う」
左馬刻の息を呑む音が響いた。
「そう思える左馬刻は、強いと思う」
世界で一番綺麗で、強いあなたへ送る精一杯の言葉。
「私は、そう言ってくれた左馬刻となら、この子を育てていきたいって思ったの」
左馬刻の瞳が小さく揺れる。
「だから左馬刻。私と、この子と…っ！」
ぎゅうっと手を握りしめる。
「家族に、なってください…」
左馬刻と、これからの未来を歩んでいきたい。
「そういう幸せを、私たちと作ってください…」
ずっと、ずっと。
「…ああ」
初めてお腹に触れた左馬刻の手は、酷く優しかった。
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トーマ - ついに完結してしまった…これからも幸せでいてほしいですね〜もう一回全部読んできます、神作品をありがとうございました！！煉くんかわ…かっこいい、女の子の扱い方うまそう… 次の作品もたのしみにしてます！ (2019年1月26日 9時) (
レス) id: 886f42f433 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - 完結と同時にコメントしたかった・・・こんな幸せな作品をありがとうございました。他にもいろいろ言いたいことはあるけど、とても言い尽せそうにありません。なので、もう一度言わせてください。ありがとうございました。 (2019年1月25日 0時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 花蓮さん» ありがとうございます！！よかったです〜！たくさん読み返して頂けて幸せです！！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございます！！想像の斜め上行けましたかっ！？楽しんで頂けたのなら幸いです！！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 魔王さん» ありがとうございます！！素敵だなんてそんな…っ！たくさん読み返して頂けたら幸いです！！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うすしおタルト | 作成日時：2018年11月28日 19時
