第74話(しらすの丼子さんリク) ページ34
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「うん、痛い」
「一瞬だろ」
寝ぼけたことを言う左馬刻の頬を軽くつねる。
「私は左馬刻じゃないので、痛いんですー」
「おーおー、俺も痛てーわ」
私の抵抗を軽く流しながら、左馬刻は枕元に転がる残りのピアスを手に取る。
「あ？残りどうすンだ？」
「ああ、それ…」
左馬刻の手の中で輝くそれを見つめながら、一つ大きな息を吐く。
ためらいのような、決意のような溜め息。
「左馬刻に、付けて欲しい」
「…泪」
「私じゃなくて、左馬刻
少しだけ、声が震える。
拒絶されたら？
断られたら？
突き返されたら？
ありはしないような、でもありそうな反応に指先を震わせると、左馬刻が左耳のピアスを一つ外す。
「さまとき…」
「テメェが右なら、俺は左だろ？」
ニヤリと笑って、左馬刻のピアスだらけのグロテスクな左耳の耳たぶに、赤いピアスを付ける。
キラリと一瞬だけ光ったそれに『あ、カーテンちょっと開いてたんだ』なんてのんきなことを思っていた。
「…かっこいい」
「ハッ、俺を誰だと思ってんだよ」
『左馬刻様だぞ』ドヤ顔でそう言われてしまえば、思わず吹き出してしまう。
「あはは！そうだね」
「あ"？ンでそんなに笑ってんだよ」
眉間に皺を寄せる表情さえ愛おしくて、思わず左馬刻の耳に付いているピアスに手を伸ばす。
「お揃い、だね」
「…おう」
それからするりと首筋を撫で、腕を伝って左手の薬指に触れる。
「ふふっ、お揃いいっぱいだ」
「はあ〜…」
左馬刻が大きな溜め息を吐く。
「どうしたの？」
「どうしたもこうしたもねえわ」
どこか睨むように向けられた視線にたじろぐと、顎を掬われる。
「あんまり煽るようなこと言うんじゃねえぞ。外に出してやれなくなる」
そう言いながら、左馬刻は左耳の塞がれたピアス穴を犬歯で噛む。
「あ…っ」
甘すぎる痛みが体を駆け巡る。
左馬刻が笑った音がした。
それから、銃兎さんと理鶯さんからクリスマ スパーティに誘われたけれど、丁重にお断りして左馬刻と二人で過ごした。
なんてことない。
二人でご飯を食べて、たまには映画なんか見て。
夕飯はクリスマ スらしくチキンやケーキなんか用意して。
何事もない一日。
そんな幸せを噛み締めた。
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トーマ - ついに完結してしまった…これからも幸せでいてほしいですね〜もう一回全部読んできます、神作品をありがとうございました！！煉くんかわ…かっこいい、女の子の扱い方うまそう… 次の作品もたのしみにしてます！ (2019年1月26日 9時) (
レス) id: 886f42f433 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - 完結と同時にコメントしたかった・・・こんな幸せな作品をありがとうございました。他にもいろいろ言いたいことはあるけど、とても言い尽せそうにありません。なので、もう一度言わせてください。ありがとうございました。 (2019年1月25日 0時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 花蓮さん» ありがとうございます！！よかったです〜！たくさん読み返して頂けて幸せです！！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございます！！想像の斜め上行けましたかっ！？楽しんで頂けたのなら幸いです！！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 魔王さん» ありがとうございます！！素敵だなんてそんな…っ！たくさん読み返して頂けたら幸いです！！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うすしおタルト | 作成日時：2018年11月28日 19時
