第64話(白鶴さんリク) ページ24
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「あっ！」
「あ」
晴れ渡る空に響く、対象的な二つの声。
ここはヨコハマ・ディビジョン。
碧棺左馬刻の街。
こんな場所では滅多に聞けない甘い声に振り返ると、イチゴの飴の色をした髪の持ち主が、可愛らしい足取りで走ってくる。
「泪ーっ！」
「う、わ…。乱数、危ないよ」
「受け止めてくれてありがと！」
「どういたしまして」
まるで誰もが見蕩れてしまうような甘い笑顔に答えれば、それは一層どろりと溶ける。
「まさか泪に会えるなんて！ボクついてるなー。わざわざヨコハマまで来た甲斐があるって感じ！」
「仕事？」
「うん！新作の打ち合わせだったんだよ」
155cmという成人男性には見合わない身長の乱数は、どうしたって私を見上げる体制になってしまうわけで、上目遣いの乱数は普段より倍可愛い。
「ん？」
女として確実に可愛さで負けているであろうと心の中で思っていると、不意に乱数が不思議そうに声を上げる。
「泪、また胸おっきくなった？」
「む、胸って…」
まるであどけのない子どものような顔で言われてしまえば、反抗する気力さえなくなってしまう。
「えっと、何で？」
「え〜？なんか抱きついた時に『いつもと違うな〜』って思って」
内容が内容なだけに、恐る恐るそう聞けば乱数は一瞬だけ思考を巡らせて答えてくれた。
え、そんなの抱きついただけで分かるものなのかな？
若干の疑問は乱数の声に掻き消される。
「ていうか、泪はどうしてここに居るの？左馬刻は？」
さっきまでの話題なんてなかったような口振りに少しだけ驚いてから乱数の質問に答える。
「左馬刻の付き添い。そこの建物で集会してるからさ。『車で待ってろ』って言われたんだけど、もうそろそろ終わる頃だから迎えに来ちゃった」
『怒られるかな？』なんて言えば乱数は自分のことのように嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「いいや！喜ぶんじゃないかな！」
実際は、ここ最近左馬刻が忙しくて顔を合わせるのも、声を聞くのすらままならなかった。
この集会が終わったらひと段落するらしく、思わず迎えに来てしまったのが本音だった。
「左馬刻は幸せ者だな〜」
「そうかな？」
「そうだよ〜！」
そう言うと、乱数は一層強く私を抱き締める。
「わ…っ、乱数…！」
その力強さによろめくと、体が倒れる前に誰かに受け止められる。
それは、世界で一番愛おしい人だった。
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トーマ - ついに完結してしまった…これからも幸せでいてほしいですね〜もう一回全部読んできます、神作品をありがとうございました！！煉くんかわ…かっこいい、女の子の扱い方うまそう… 次の作品もたのしみにしてます！ (2019年1月26日 9時) (
レス) id: 886f42f433 (このIDを非表示/違反報告)
カコ - 完結と同時にコメントしたかった・・・こんな幸せな作品をありがとうございました。他にもいろいろ言いたいことはあるけど、とても言い尽せそうにありません。なので、もう一度言わせてください。ありがとうございました。 (2019年1月25日 0時) (レス) id: 7a3bf8ffac (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 花蓮さん» ありがとうございます！！よかったです〜！たくさん読み返して頂けて幸せです！！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 麗華さん» ありがとうございます！！想像の斜め上行けましたかっ！？楽しんで頂けたのなら幸いです！！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
うすしおタルト(プロフ) - 魔王さん» ありがとうございます！！素敵だなんてそんな…っ！たくさん読み返して頂けたら幸いです！！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 9f30b37ea7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うすしおタルト | 作成日時：2018年11月28日 19時
