狙われちゃんと不死川さん 《不死川実弥》

＊元気で。 ページ36

最近、何故かとても元気が良い


食欲も少しずつではあるけれど出て来たし、ちょっと外で遊べるようになった。


日の下というのはとて久し振りで暖かくて
私が寝込み続けていた間にも、季節は進んでいて


私が外に出れた頃は「秋」を迎えていた。


散っていく枯れ果てた葉を見ていると、気持ちが沈む。


元気になったってどうせ変えられない


奇跡的な回復だろうとなんだろうと、その運命を変えられるほどじゃない。


けれど朝になって日が変わっても、皆のことを覚えていることが嬉しかった。
このまんまで過ごしたいよずっと…いつまでも


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「元気出たみてェだな」
「あ、実弥」


戸の壁にもたれ掛かっていたのは、実弥だった。


記憶は曖昧だけれど前より傷が増えたように思える。
私は側に小走りで駆け寄る。


実弥は私を見て「ん」と声を漏らした。


どうしたものかと首を傾げる


「背、伸びてねェ？」


自然と実弥はぽん、と私の頭に手を置く


そう言われれば実弥との視線も少しだけ差が縮まったような。
こうやって病気に侵されている間も、成長期ではあるからだろうか


もっと縮まれば


もっと近付けるのに


叶わない恋って知ってて、今も尚実弥を追ってしまう


近付けば近付くほどに、別れが悲しくなってしまうだけ


「ねぇ実弥。街に行きたい」
「…胡蝶に怒られるぞォ？」


私に無理をさせない為のちょっとした脅し


でもどうしても、一緒に出掛けたかった


しのぶさんには内緒だ
許可だって取っていないから、心配するかもしれない


今だけ＿我儘、聞いて下さい


私は両手で実弥の背を押す


「お願い。…一緒に行きたい」


実弥は数秒黙った後、呆れたように本当に微かに笑って言った。


「…嫌じゃねェよ。ったく、秘密だぜェ？」
「うん、勿論だよ。ありがとう」

＊ゆっくりと。→←＊忘れようと。

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