狙われちゃんと不死川さん 《不死川実弥》

＊恋も。 ページ34

好きに決まってんじゃねェか。
好きだから力になりてェんだよ、何でそんなに元気ねェんだよ


病気のことは分かってるつもりだけどよォ


＿＿直ぐ、治るよなァ…？


なァ、不安過ぎて眠れねェよA


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最近微笑むことすらしなくなったA。


そんなに病気が辛いんだよな、分かってるけどォ


重すぎじゃねェか


日々ぷつんと途切れて行くAの記憶。どんなに嬉しいことも
1日経てば…んや半日経っちまえばAは全部＿＿忘れちまう


「私、ある人を探してるんです」
「おォ…言ってみなァ」


表情を一切変えずに、呟くA。


記憶は戻ってねェし忘れてる。
俺のことも…さっぱり、忘れちまってる


あァ当たり前だよな


今更何で、こんなことで傷ついてるんだよ俺はァ


Aが少し、ほんの少しだけ口角をあげる。
微かに瞳を揺らして…愛しそうに


その仕草に一瞬にして捉えられちまう。


そんな表情でずっと笑ってて欲しかったな、テメェには


俺にもんな笑みを向けて欲しかったんだけどなァ…我儘だわなァ


「…一緒に甘味処に行ったんです」


胸に手を当て、横になったまんま窓の外を眺めるA。
自由になりたいような外に出たいと言うかのような


「顔は…思い出せないけれど。お…はぎ、を食べてた。優しい人」


…そうかァ


そうだなァ一緒に……行ったよな甘味処ォ


確かに、食ってたよ。それが俺だったらの話だけど。
俺だったら嬉しいけどよォ…だって


いつまでもAの記憶ん中に、残って…られるじゃねェか


目頭が熱くなって来る。
意味分かんねェよ全く…面倒臭い感情だぜェ


こんな立場で、テメェに何もしてやれない立場で。


こんな場違いな感情持っちまう。
無責任に素直に、受け止めちまうんだよ


「…気長に、探してみろォ。きっと…近くに居るだろォよ」


俺なりに微笑んだつもりだったが、やはりAは表情を崩さない。


＿＿俺も気長に待つよ。テメェの病気が治るの待ってる


治るよなァ、絶対
突然いなくなったりしねェよな。



恋してる途中で死ぬなんざ、俺はァ……認めねェよ

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