*あなたに。 ページ30
しのぶさんが静かに涙を流し、私の体を強く抱き締める。
何がなんだかよく分からずに私もそっと抱き締め返す。
けれど、なんとなく理解はできた。
この頭の痛みと何かしら関係があるということ
治らない私の体と脳に問題があること
悔しくて、悲しくて私は歯を食いしばる。
まだ生きれる年なのに…まだ、多分やりたいことは沢山あるのに
誰かに恋というものをしたり、新たな感情を知ったり
まだまだ私の知らないことが、この世にはある。
だがしょうがないと思う私も居た。
私の体が尋常じゃないことは知っていた、それと同じで___脳も
「Aッ………あな、たは…!」
あぁ、しのぶさん。
分かっていますその先の言葉は
決して幸せな言葉ではないこと、幸福に満ちた言葉じゃないのは。
___こんな小さくても、色々受け止める覚悟はできてるんだから
唇を震わすしのぶさんに私は微笑む。
大丈夫、私なら__もう…慣れてしまったことだから
「天から神から見放された子」
そう思えば生きてきた意味も何も、ないと思えてしまうけれど
出会えたよ大切な人と。
まあ明日になったら…忘れて、しまうのだろうね
「…うん、分かってる。全部、大切にして過ごしてくよ」
「このことは…」
私は痛み続けるこめかみを意識しながら、しのぶさんに言った。
「誰にも……言わないで」
心配させたくない。
これ以上迷惑を掛けたくない。
実弥もカナヲもアオイも…皆、大好きだから
みんなは優しいから。話してしまえばきっと
私に会う度に変に優しくしてくるだろう
そんなのされても楽しくないし嬉しくないもん
どうせ死ぬなら最後まで楽しく…生きていたいから。
しのぶさんは服の袖で目元を擦り、こくりと頷く。
心の底から感謝しか沸かない。ありがとう、私の願いを聞いてくれて。
その時、ガラッと部屋の戸が開けられた。
吃驚して私は飛び跳ねる。
そっと後ろを振り向き、そこを見てみると
「おォ、居たのかァ…大丈夫かよ、昨日痛そうにしてたろォ」
ひょいっと腰を屈めて私の顔を覗き込む実弥。
昨日という単語に引っ掛かるが、私は笑って「うん」と頷く。
ほら、優しい
だからね
あなたには_____言わないよ
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ウォーターツリー(プロフ) - ストロベリームーンさん» 一応消したけど…一応ありがとう(?)笑 ※返信無しで大丈夫です (2020年8月13日 21時) (レス) id: 602bf9e950 (このIDを非表示/違反報告)
ストロベリームーン(プロフ) - ウォーターツリーさん» 一人で寂しく祝ってて悲しいね(*´・ω・)私が盛大に祝ってあげよう!.......かぁぁぁぁぁぁんけぇぇぇぇぇぇぇつぅぅぅぅぅ!おぉぉぉぉぉめぇぇぇぇぇでぇぇぇぇとぉぉぉぉぉぉぉうぅぅぅぅぅ!(遅れてめんご、だって通知来なかったんだもん。...ぴえん) (2020年8月11日 1時) (レス) id: 52d18f6c25 (このIDを非表示/違反報告)
ウォーターツリー(プロフ) - 自分完結おめでとう(何やってんだか) (2020年8月7日 15時) (レス) id: 602bf9e950 (このIDを非表示/違反報告)
ウォーターツリー(プロフ) - yssy4181yuukaさん» ありがとうございます!こんなありきたりなお話で感動して下さるなんて…(;_;)本当にありがとうございます!! (2020年8月6日 9時) (レス) id: 602bf9e950 (このIDを非表示/違反報告)
yssy4181yuuka(プロフ) - やばい泣いた (2020年8月6日 8時) (レス) id: 2a5f87979c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウォーターツリー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/JannethBas1/
作成日時:2020年3月25日 19時