不死川先生は余裕がない【鬼滅の刃】

38−額に ページ40

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「兄貴だとォ…？ 玄弥ァ……」

「ヒッ」

「兄ちゃんと呼べェ」

「や、ヤダよ！ 子供じゃねェんだから！」

「俺にとってはいつまでも子供だァ馬鹿」





実弥に抱き込まれる中兄弟喧嘩をはじめられる。
微笑ましい光景ではあるのだけれど間に挟まれる身としては肩身の狭い思いだ。

余所でやってほしいのが3割、微笑ましいのが半分、…羨ましいと感じるのが残りの20% 。





「……何だお前そんな可愛い顔して」

「へっ？」

「むくれてんのか？ 可愛い奴だなァ……」

「……！？」

「お、俺の前でそんなのすんなよ…」





いつの間にか上から覗き込まれる様に実弥が此方を見ていて、至って真面目な顔でそんな事言う。

むくれてなんか居ないし。すると挙げ句の果てに鼻をがぶっと噛まれて訳がわからず目を泳がせた。


玄弥は多分私よりも顔が赤い。





「む、むくれてなんか…」

「俺がお前に構わねェから拗ねてんだろ」

「……っう、べ、別に…」





正直少なからずもそう思ってしまっていたのは事実だ。
今日の実弥は大人の高そうなスーツを着ていていつもの何倍も格好いいから甘やかしてもらう気満々だった…っていうのは言えない。


すると私だけに見せる甘すぎる顔で実弥は私の顎を、猫を甘やかすみたいに、くすぐる様に撫でた。





「安心しろォ。お前は後でな。＿＿数学準備室」

「……！」





最後におでこにちう、と上から唇を少し強めに吸い付けて実弥は私から離れた。

あまりにも格好良すぎて、実弥が去るまで一部始終を見ていた周りのみんなも呆気にとられて息を呑んでた。





「………ち、ちょっとAAA！！ 今の何！？ あのおっさんAのおでこにチューしたの！？ 何アレ！！？ カッコよすぎない！！？ おっさんのクセに！！」

「……うん………」

「ッア"ーーー！！ 駄目だ放心しちゃってるこの子！！」

「Aが大好きなんだな不死川先生は！」

「A！！ 消毒だ！ デコに毒盛られたぞ！」

「兄ちゃんはそんな事しねェよ馬鹿猪！！ い、…今のはキッスだ！！ 恋人同士のするアレだ！」





遠くの方でスリッパが階段を擦る音が消えた後、漸く絞り出した善逸がひん剥く位に目を見開いてムンクの絵と同じ顔をしてた。


今のは反則ですお兄さん。
あのカナヲですら薄ら目を見開いて驚いた顔をしてる。





「オイA！ デコ貸せ、俺が解毒してやるよ！」

「「させるかぁっ！！」」





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