伊黒小芭内 ページ9
.
「…ん、俺も。」
少しの間の後、静かにそう言った伊黒先生が今どんな表情をしているのか私には想像出来なかった。
『ねえせんせ、本当に私のこと好きなの？』
「失礼な質問だな。当たり前だ。」
確かに失礼な質問だったかもしれない。
けれど私の中で先生が私に好意を寄せているという事実がどうしても信じられなくて、つい口に出してしまった。
そんな私の感情を感じ取ったのか、質問に対しての返事は一瞬の間もなく寧ろ食い気味に答えた先生につい笑ってしまう。
「…なぜ笑うんだ。」
『いや、だって先生が私のこと好きとか信じられない』
『だからなんだかおもしろくて』と笑いながら告げれば、スマホの向こうからは静かにため息の音が溢れた。
…あ、これはちょっと拗ねちゃった？
なんて思う私と本当に拗ねてしまったらしい先生は、まるでどちらが年上なのか分からない。
「そんな事を言うようになったのだな、お前は」
『だって昔言われた告白みたいな言葉、素直に信じられないでしょ。普通。』
「あの時は素直に信じられても困る立場だったから仕方ない」
『た、たしかに…。』
『なるほど！確かにあの時付き合ってたら先生クビだもんね！』と1人納得して『うんうん、確かに』と話していれば、何処が面白かったのか珍しく先生が吹き出して、それにつられて私の口からも笑いが溢れ出た。
「…明日の夜、会えるか」
『会えるよ。仕事終わりに私も会いたい』
「ならば決まりだな。店は予約しておく」
「お前も早く帰って寝ろ」と言った先生は、やっぱりどこか先生のままで。
そんな人と両想いになったことが未だ信じられない気持ちもある。
でももう、私は素直になっていいんだ。
そう思えば気持ちがスっと軽くなり、高校三年生の頃に密かに蓋をしていた自身の気持ちが一気に溢れ出てくるのを感じた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 394人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏海(プロフ) - 柚葉さん» 混乱させちゃってごめんなさい！笑 3人それぞれのルートで書いたから互いに悪く言い合ったりしちゃってる！笑 全部分けて読んでくれると嬉しいです☺️ (2021年10月21日 13時) (
レス) id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 羽糸さん» ふふ。あなたのために書いちゃった🥺笑 思う存分推しと幸せになってね♡ (2021年10月21日 13時) (レス) id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - えっ？？？混乱してもうた！ (2021年10月20日 10時) (レス) @page4 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
羽糸(プロフ) - 続編ありがとう。そしてオチの件もワガママ聞いてくれてありがとう。このお話の推しはもうブレないから、早く私を幸せにしてくれ！！！！！(笑) (2021年10月20日 9時) (レス) @page1 id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奏海
| 作成日時：2021年10月20日 9時
