影山飛雄は番犬である【ハイキュー】

俺のトス ページ6

大会。
雪ヶ丘に見事に圧勝した北川。

その後の試合は酷かった。
あまり言いたくないが……北川は負けた。



『飛雄〜！』



部活も引退した私たち。
私は飛雄に家にバレーボールを持って、遊びに出かけた。



影山「…Aか」

『バレーしに行かない？勉強疲れるでしょ』

影山「！行く」



近くにある体育館。
ネットを張って、私たちはオーバーでパスをし合う。

一応、小学生の頃から飛雄につられてバレーはしてたし。
北川でも、マネージャーはしてたけど、ママさんバレーとかに行ったりしてた。



『飛雄ぉ、高校どこ行く？』

影山「……Aの行く所」

『言うと思ったよ……私は烏野にしよっかなって』

影山「烏野…？」



飛雄は少し無言になった後「あぁ、ちょっと前まで強かった所か」と言った。



『そーそー。あ！そうだ飛雄！』

影山「？」



私はこっちに来たボールをオーバーで返さず、キャッチした。



『トス、上げてよ』

影山「！」



久しぶりだなぁ…アタック打つの。
昔はやってたけど、最近やってなかったし。

飛雄にボールを投げる。
しかし、飛雄はそれをネット側に上げない。

それどころか、トスを上げようともしない。



『……飛雄？』

影山「…怖くなる」

『え？』

影山「…そこに誰も居ないんじゃねぇか…って…怖くなる」



北川の負けた試合。
中学最後の県大会決勝戦。

上げたトスをチームメイト全員に無視され、誰にも触れられなかったボールはそのまま地面に落てしまった。
飛雄はその後ベンチに下げられた。

この時の出来事が飛雄には相当堪えているようだ。



『……飛雄…』



この時の私は、飛雄に何も言ってあげられなかった。
隣のコートで遊ぶ小学生の笑い声だけが体育館に響いていた。

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