【募集企画】東方幻想記録物語 3巻

様子、様相　珠城 ページ25

命令を、と言った畔の様子が変だ。


ヴァネッサ、という人が妖夢に切られ、大丈夫だと後を押され、もう何がなんだかよく分からない。

完全に致死量だがあの状態で喋れるというのならきっと大丈夫の筈だ。


抑々餓鬼とは一体という大前提だが擬態がどうのこうの言っていたので恐らく本人ではないのだろう。


――そんなことに、哀愁を感じている自分が心底嫌になる。


出会った瞬間から裏切りの可能性が付いてくることを知っている。

手に入れるということは、孤独への一歩だと知っている。


これだから、俺は、俺が嫌いだ。


「畔？」


応答はない。

表情が死んでいる。

機械仕掛けの精巧な人形のようで、ぞわりとした悪寒に襲われる。


『餓鬼を倒し、異変を終わらせる』


それが主目的だから、そのために来たから、なのに、今はその選択が間違っているように思える。


負傷してたのは知っていた。

痛みを感じていないのか動きは鈍くなかったが今は先程より断然早くなっている。


脳のリミッターが外れている？

この時点では漸く着いて行くのがやっとくらいだ。気を抜けばあっという間において行かれる。


畔の意識はないと見ていいだろう。

目的は、矢張り餓鬼とかいう奴を倒すことか。


「しょうがないな」


多分、畔は強い。ならこっちはこっちなりに全力で援護させてもらおう。


腰の弾倉が入っているか確認をし、本体を取り出す。


型とか知らないし、興味もない。


だが、この譲り受けたものが相当優秀であることは使っていてよく分かってる。


先を走る餓鬼へ標準を合わせる。


反則、なんてものは知ったことじゃない。

使える手は、汚くても全力で使うのが俺のポリシーだ。

かなりヤバイ　畔→←逃走　ナハト

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