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先生が倒れてからもうすぐ1時間経つだろうか。
さくらとの会話も無くなって、私達は静かに先生を見守っていた。
無言の空間に響く美術室からの争い声は、だんだんと激しくなっていく。
私は先生の左手を、両手で包み込むように握った。
3日目の朝、美術準備室で先生の手に触れた時を思い出す。
あの時私は、ドキドキしながら先生の左手にそっと触れた。
先生が目を覚まさないように。
でも今は…
先生、どうか目を覚まして。
そう願って手に力を込めた時、
先生の手が微かに反応したのを感じた。
「…先生？」
眠る先生の表情が少し揺れて、
ゆっくりと瞼が開いた。
「先生！」
「蒼井…」
眩しそうに目を細めた先生と視線が合って数秒の時間が流れた。
安堵の涙が目に浮かび、視界が曇っていく。
「よかった…意識が戻って、ほんと…」
その言葉を言い終える前に、先生は目を逸らし、左手を握っている私の手を振り払った。
振り払った、というより手首のリモコンを確認する為に除けた、の方が正しいかもしれない。
それでも私は振り払われたと感じた。
爆弾のリモコンが無いことを確認した先生は、身体を起こして周りに私とさくらしかいないことを確認した。
それだけでおおよその状況は把握したんだろう、先生は私に訊いた。
「ハッチが…開けられたんだな？」
私はこくりと首を動かして頷いた。
口が上手く開かなくて、「はい」のたった一言も言えなかった。
声の出し方を忘れてしまったみたいだ。
手を振り払われた感覚が、ずんと心に響いていた。
私の先生への想いをまるごと否定されてしまったような。
どことなく別れを感じさせられた。
先生に拒絶する意思はなかったのかもしれないけれど、私としては結構ショックだった。
私は半ば放心して床にぺたりと座っていた。
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さな×りお(プロフ) - 緑えいたぁーさん» えぇ…ありがとうございます！ めっちゃ嬉しいです更新頑張ります！ (2019年5月3日 20時) (
レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
緑えいたぁー(プロフ) - さなさんとりおさんの書くお話が大好きです！いつも楽しみにしています！もしかしたら歳近いんじゃないかな〜って思ったりしたりしなかったり…御二人のファンとしてずっーと応援してます！ (2019年5月2日 22時) (レス) id: 847f0c09f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな×りお | 作成日時：2019年4月24日 22時
