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「知ったような口ききやがって!」

真壁君の胸倉を掴んで引っ張り上げる。

「何で俺がこいつより弱ぇんだよ!?

負けっかよ、こんなやつに…

なんだよその目はなんなんだよ!?」

美術準備室で見た、映像の続きを思い出した。

【好きなやつとかいんの?】

【…もしかして真壁?】

景山さんははっきりと肯定はしなかったけれど、きっと真壁君のことが好きだったんだ。

それで里見君は…

「真壁君は弱くなんかないよ」

さくらが里見君の言葉を否定した。

「澪奈が言ってた。
私が真壁君の選手生命を奪った。
でもだからこそ、真壁君の為にも一分一秒でも早くゴールするんだって!
それが私の出来ることだからって!

澪奈がそう思えたのはきっと、悲しみや苦しみを乗り越えた真壁君を見たからだと思う」

それを聞いて里見君は顔を歪め、真壁君から手を離した。

「…知ってたよ。
こいつが俺より強いって。
取り返しのつかないことしたって。
そんなん知ってたよ!


…殴ってくれよ」

里見君は助けを求めるような顔で真壁君を見上げた。
罰を受けることで救われようとしていた。

「殴れよ。…おい、殴ってくれよ」

景山が俺を傷つけたから、傷つけ返してやった。
俺は景山を傷つけたから、誰かに傷つけられないといけない。
それは危険な考えだと思った。

「景山は、そんなこと望んじゃいない」

真壁君が里見君の両肩を掴む。

「その悲しみを、力に変えてくれ里見。
景山の分まで…」

景山の分まで。
その言葉が皮切りになったんだろう。
傷口から血が零れるように、里見君の目から涙が流れた。

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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…!ありがとうございます!!とっても励みになります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……!いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています! (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月7日 13時

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