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3-14 ページ39

みんな驚いていた。
里見君も、クラスのみんなも、さくらも。
先生でさえ目を見開いていた。

でも、私が一番驚いてる。

「そんなの、相手を傷つける理由になんてならない」

それでも言葉は止まらなかった。
抑えの効かない怒りが湧いてきて、口から零れていく。

「確かに里見君は傷ついたのかもしれない。でも、それは景山さんのせいじゃない!
景山さんが里見君を傷つけたんじゃない!」

景山さんは真摯に里見君に向き合って、そして断ったんだ。
景山さんに落ち度はない。

失恋の痛みは私にだって理解できる。

でも、景山さんを責めるのは間違ってる。

肩を怒らせる私を、里見君は呆然と見つめていた。
その瞳が揺れた。


「里見」

先生が口を開いた。

「お前は、本当に景山の苦しむ姿が見たかったのか?

それがお前にとって、明日を生きる活力になったのか!?」

「なんだよ活力って」

里見君は馬鹿にしたように、乾いた笑みを浮かべる。

「ある刑事の話をしよう。

男は教師だった。
男の教え子が、集団暴行を受けて亡くなった。
男は自分を責めた。
その悲しみと怒りを、犯罪そのものに向けた。
そして男は、刑事になった。

その男は負の感情を跳ね返して、明日を生きる活力に変えたんだ。


ここにいる2人もそうだ」

先生は真壁君と熊沢さんを手で示す。

「真壁は選手として活躍できなくなった時、相手を憎むのではなく、仲間をサポートする道を選んだ。
熊沢だって、ほんとは景山に対して複雑な思いを抱いていたはずだ。でも彼女に勝とうと努力をして、負の感情を跳ね返した。

里見お前はどうだ。
傷ついた悲しみを、明日の活力に変えられなかった。
それが、お前の弱さだ」

「うるせんだよ!!」

里見君は乱暴に椅子から立ち上がった。

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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…!ありがとうございます!!とっても励みになります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……!いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています! (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月7日 13時

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