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「…加える?」
「どういうこと?」
「5人のうち1人が蒼井になるんじゃないの?」
みんなが気にしているのは、私が犠牲者になることより、私が犠牲者になるのにその定員が減らないことだった。
自分が死ぬ確率が懸かっているから妥当な反応なのかもしれないけど、やっぱり悲しい。
でももっと悲しいのは、先生に犠牲者なれと言われたことだった。
「言ったはずだ。蒼井はこのクラスの一員ではない。だから最初に言った犠牲者5人は、このクラスの中から選ぶ」
「…なんでAを殺すんですか?」
さくらが訊いた。
手負いの子犬のように身を震わせながらも、先生に抗議の視線を向ける。
「だってなぁ」
先生は教室を見渡す。
「お前ら、蒼井を共犯者だって疑うんだろ?
蒼井は違うって言ってるけど、信じられないんだろ?
証明して欲しいんだろ? さっきそう言ったよなぁ?」
先生と目が合った何人かが下を向く。
俺は何も言ってねぇし。私関係ないし。
目を逸らした人の顔がそう言っていた。
先生はにこりと微笑み掛けてきた。
不気味なくらい朗らかな笑み。
「よかったなぁ蒼井、みんなの疑いは晴れたぞ」
反論する人はいない。
共犯者を、殺す訳がない。
誰もが押し黙る。
確かに先生は、私を疑いの目から守ってくれた。
私自身の命を掛けて。
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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…!ありがとうございます!!とっても励みになります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……!いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています! (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月7日 13時