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先生が刑事さんに問う。

「その生徒は、一体誰だったんですか」

〔熊沢花恋だ〕

みんなの視線が熊沢さんに集まる。

熊沢さんは驚いて目を見開いていた。
明らかに動揺している。

そりゃそうだ。

だって、違うから。

「違う…私じゃない。
私じゃない!!

大会の日、私はゼリーしか食べてないって言ったでしょ?」

熊沢さんは、先生に向かってそう言った。

「あ、そうだったすまない熊沢。
先生間違えちゃったよ」

芝居がかった口調で、先生は頭を搔く。
先生の笑い声が響く。

〔おいおいちょっと待てよ。
どういうことだ!?〕

「刑事さん。あなたは内通者を信じ過ぎた」

〔まさか…お前が〕

「いやいや、内通者は僕じゃありませんよ。
ただ僕も、刑事さんとその生徒のやりとりを閲覧することができるんです」

〔内通者の生徒は、お前の共犯者ってことか〕

「ピンポーン」

内通者の、生徒?

てっきり、先生が生徒になりすましてメッセージを送っていると思ってた。

「…内通者って、何?」

突然の新情報に、困惑した誰かが言う。

「この中に、共犯者がいる」

その言葉で、教室にざわめきが広がった。

みんなが教室を見渡す。

けど、教室を巡らせた視線は、段々と1箇所に集まってくる。
私へと、集まってくる。
視線の束を感じる。

「ぜってえ蒼井だろ」

誰かが言った。

「確かに」

「ブッキーのこと庇ってたし」

「間違いないよね」

尖った視線が突き刺さる。
私の共犯疑惑が、確定的なものになってしまった。

「違う、私は」

「じゃあ証明して見せろよ! 自分は無実だって!」

「そんな…」

そんなことできる訳ない。
違うけど、否定できない。
この状況で信じてもらう術がない。

どうしよう。

沈黙が重い。
みんなの視線の圧を感じる。

どうしよう。

どうしよう。


「それなら」

口火を切ったのは先生だった。

先生の発言に、みんなが注目する。

先生は私を見据えて、言った。

「蒼井を、犠牲者の1人に加えよう」

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さな×りお(プロフ) - 雨傘 空さん» 勿体ないお言葉…!ありがとうございます!!とっても励みになります! (2019年4月13日 12時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
雨傘 空(プロフ) - 文章表現がとても好きです……!いつも更新たのしみにしています。作者さんの無理のないペースで、これからも応援しています! (2019年4月13日 8時) (レス) id: 04590a81f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月7日 13時

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