【3年A組】私のせい、貴方のせい2

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【宇佐美】

先生が問い掛ける。

【お前は、景山にしたことを自分がされたらどんな思いをするのか、考えたことがあったか？】

【…説教？】

【そうだ、説教だ。

二度と、こんなことにならないようにな】

【うるさい！！】

【逃げるなぁああ！！！】

先生の怒号が宇佐美さんの声を呑み込んだ。

【そうやって大声で拒絶して、他人の声に耳を貸さずに、今まで生きてきたんだな。だからあんな馬鹿な真似をしても、何も感じない人間になったんだな】

都合の悪いことは聞こえないふりをする。
それは多分、凄く楽なんだと思う。

でもそうすると、外部からの刺激がなくなる。
感覚が麻痺していって、普通なら越えてはいけないと直感が働く一線を、簡単に踏み越えてしまう。

【宇佐美、お前に足りなかったのは想像力だ。
自分の服を切り裂かれたら、
自分の家の窓を割られたら、
嘘の投稿で、謂れのない中傷を受けたらどんな思いをするのか。
お前はその痛みを、想像できなかった】

【うるさい うるさい うるさい うるさい！！】

悲鳴に近い拒絶だった。

宇佐美さんは耳を塞いでしゃがみ込む。

先生はその手を外し、両手で頬を挟み込み上を向かせた。

【景山は、お前のことを恨んじゃいなかった。
お前と、本当の友達になりたかったって、そう言ってた】

本当の友達…

それが何を意味するのかは分からなかったけれど、景山さんが宇佐美さんを大切に思っていることは伝わった。

服を切り裂かれ、窓を割られてもそう思えるんだから、その気持ちはよっぽどのものだったに違いない。

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