検索窓
今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:108,910 hit

1-10 ページ11

しばらくして、先生が入ってきた。
私はぺこりと頭を下げる。

「蒼井Aです。デッサンを教わることになってた」

「…ああ、君がか」

柊先生を正面からまともに見るのは、初めてだった。
くしゃくしゃっとした前髪に、丸眼鏡。
美術教師という肩書きがよく似合った。

「画材とか準備するから、そこ座ってて」

先生は手近な椅子を指して、私に背を向けた。言われた通り腰を下ろし、先生がイーゼルに画板やら画用紙やらをセットするのを眺めていた。
何か会話をした方がいいんだろうか。
沈黙を破ったのは、先生の方だった。

「蒼井は、全くの初心者か?」

デッサンのことだろうか。

「はい」
「デッサンについて、勉強したりは?」
「つい数日前までデッサンをやるなんて考えてなかったので…ほとんど何も知らないです。鉛筆画みたいな感じですか?」
「似てるけど、違うな」

先生はこちらに向き直った。

「鉛筆画は、鉛筆で描いた絵のことだ。特にルールはない。思うままに、好きなように描けばいい。でもデッサンは違う。
目の前にあるものを客観的に分析して、紙に写していくんだ。

余計なことはせず、淡々と」

先生は顔を上げ、私と目を合わせた。

「蒼井はそういうの、得意だろ?」

含みのある言い方だった。

1-11→←1-9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
165人がお気に入り
設定タグ:3年A組 , 柊一颯 , 菅田将暉   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

さな×りお(プロフ) - かなとさん» 指摘していただきありがとうございます。訂正いたしました。 (2019年4月1日 18時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年4月1日 16時) (レス) id: 977ff24faa (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月1日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。