九話 キュウリグサin織斗side ページ13
織斗side
ある日の休日。
「あら…」
「どうかしたの母さん。」
母さんは園芸が好きで、家にも花壇がある。
「ふふふ。キュウリグサが咲いてるのよ。」
「キュウリグサ？確か、父さんが好きな花だったね…」
「えぇ。」
探せばどこにでもある小さな水色の花。
5mmほどしかない小さな花だけど、父さんはこの花が大好きだった。
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『ねぇ父さん！』
『どうした？織斗。』
『どうして父さんはこのお花が好きなの？』
『花言葉がとっても素敵なんだよ。』
『花言葉？』
『あぁ。どんな花にも花言葉があるんだよ。
キュウリグサの花言葉はー』
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「キュウリグサの花言葉は、愛しい人へ真実の愛。」
「……お父さんね、プロポーズしてくれた時、キュウリグサの花束をくれたのよ。
小さな花を沢山。片手で持てるくらいの小さな花束だったけど、一緒にヨモギや菫、たんぽぽもあったわ。それがとても…とても嬉しかったの。」
その時俺は、久しぶりの母さんの涙を見た気がした。
「雪さんに、会いたいわ……」
「……父さんっ……！」
母さんから久しぶりに聞いた父さんの名前。
もし、もし会社が倒産しなければ。
もし、酒になんか溺れなかったら。
もし、父さんが事故になんかあわなかったら。
今頃、俺達家族も、幸せに暮らしてたんだろうか。
優しい父さん、
優しい母さん、
そして俺。
「また…あの頃みたいに笑いたいっ……！」
キュウリグサのそばに、ハナニラが咲いていた。
￣￣￣￣￣￣￣￣
花言葉
キュウリグサ…愛しい人へ真実の愛
ヨモギ…………夫婦の愛、決して離れない
菫………………小さな愛、小さな幸せ
たんぽぽ………真心の愛
ハナニラ………別れの悲しみ、耐える愛
10話 ハプニング in葉月視点→←八話 ネリネ in葉月視点＋時雨視点
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作者名：月明 紗那・抹茶オムライス | 作者ホームページ：http://sana1117372
作成日時：2020年2月27日 17時
