兄の先輩 (水溜りボンド・トミー) (ページ28)

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28.新しいお友達ページ28

私は奈菜美ちゃんを、玄関で見送ったあと、

『ふぅ...』

一息ついた。

リビングに戻る足取りが重い...。

皆、怒ってるだろうな...

リビングの前で入るのを躊躇う。

暫く入れないでいると、リビングの方から扉が開く。

「Aちゃん、入ってこねぇの？」

扉から顔を覗かせたトミーさんが笑いながら言う。

私は怖くて下を向いたままでいると、

「Aちゃん？」

と言って、しゃがんで顔を覗いてくるトミーさん。

下から覗いてくるので、上目遣いなトミーさんと目が合い、

『...//』

私はまた目を逸らした。

違う...//

今、ドキッとか、キュンとかしてる場合じゃないのに...//

「Aちゃん、どうした？」

少し低い声で、心配そうに囁くトミーさん。

囁かれて私はさらに鼓動が早くなる。

『...おっ、怒ってないんですか...？』

トミーさんは、よく分かっていないような顔をする。

『...勝手に...お友達、家に入れちゃって...。』

「あー、いや、でもあれさ、Aちゃんが勝手に入れたわけじゃないでしょ？」

『えっ...？』

トミーさん、私のこと信じてくれた。

奈菜美ちゃんは、私が入っていいよって言ったから入ったって、言ったのに、

トミーさんは私のこと信じてくれた...。

「だから、Aちゃんは悪くないよ。」

そう言って、私を宥めてくれた。

私が下を向いていると、

「だから、気にすんな。」

頭に暖かさを感じた。

見上げると、

トミーさんが私の頭をポンポンしてくれた。

そして、またより鼓動が早くなる。

だけど、安心する。

落ち着く。

...トミーさんの手暖かいな。