うちの暴君は『嫉妬深い』だけ【石田三成】

童話にありそうな展開 ページ44

鍵の在処を見つけた佐助だったが、逃げ惑う小太郎の身のこなしは軽い。

流石は先祖が忍びというだけのことはある。


「廊下を走るとは何たる悪！この浅井長政が正義の名の下に貴様らを正してやる！」

「……風紀が乱れるのも……市のせいね……」


厳しい風紀委員で有名な浅井長政とその彼女であるお市が佐助たちを追いかける。


「はっ！事件の匂いがします！行きますよおやっさん！」


何かを察した一年生の山中鹿之介と隣にいた雌鹿のおやっさんが佐助たちを追う長政たちの後を追いかける。

更にその後をザビー教の信者を増やそうとしていた大友宗麟や単純に巻き込まれただけの黒田官兵衛が続き、全く関係の無い人たちまで小太郎と佐助を追いかける形になった。


「ぬおっ！？これは何事でござるか佐助！」

「旦那！風魔だ！風魔が例の鍵を持っている！」

「なんと！」


時を同じくして鍵を探していた幸村とすれ違い、そのまま小太郎を追いかけて行った佐助に向かって彼はありったけの声で叫んだ。


「某は政宗殿に知らせてくる！忍び殿を頼んだぞ佐助！」

「その前に俺様の後ろどうにかし＿＿」


残念ながら声が途中で聞こえず、佐助がなんと言っていたのか幸村には分からなかった。


政宗とはグラウンド権を争っているとはいえ、今は同じチーム。
協力してもらう他ないと政宗たちを探していると、三成たちとばったり出会った。


「石田殿に大谷殿と島殿！」

「真田、先程からのこの騒ぎはなんだ」

「よくぞ聞いてくれ申した！実は今佐助が鍵を持っていると思われる忍び殿を追っているのでござる！どうか手助け願いたい！」

「……分かった」

「恩に着るぞ真田よ」

「真田の兄さんあざーっス」

「お頼み申した！」


三成たちを頼もしく見送った幸村。


その光景を見ていた政宗と小十郎は何とも言い難い顔をしていた。

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