うちの暴君は『嫉妬深い』だけ【石田三成】

知恵ある者が勝つ ページ39

放課後の校舎内は生徒の数こそ少なくなっているものの、吹奏楽部の演奏や他の部活生の声が混ざり合い、休み時間とはまた違った賑やかさがあった。

鍵の在処を探す中、左近は三成たちの後に続きながら「どうやって探しますー？」と尋ねる。

いくら校舎の中にあるとは言え、ただ一つの鍵を手掛かり無しに探すのは至難の業だろう。


「なァに、既に手は打ってある」

吉継が何やら楽しそうにニタニタと笑う。
大抵彼が楽しそうにしている時は何か良からぬことを企んでいるときだ。


「宝探しが得意な人に心当たりがあるとか？」

「いや実はな、鍵にシール型のGPSを取り付けておいたのよ」

「なにバッチリイカサマしてんっスか！ってか、なんでそんな物……」

「最近は便利よな。シール型のGPSがあるなど我も知らなんだ。なァ？三成」


三成は相変わらず不機嫌なオーラを隠す気など毛頭なく、口をへの字に曲げてズカズカと廊下を歩く。


「え？あっ……もしかしてそのGPSって」

「あからさまなものではAも警戒するであろうからな。しかし我はシンパイよ。いずれAのスマホごと乗っ取って詐欺まがいのことをしてしまわぬか……」

「するか。そのようなことをしてみろ、真っ先にAに嫌われる」


バレないようにシール型のGPSを買った人がそれを言うかと危うくツッコミそうになったが、ここで一々ツッコんでしまっては話が大きく脱線してしまう。

会話の列車をこれ以上傾かせないために左近は自分の中から湧き上がった正論をぐっと堪えた。

*******

生徒会室へ戻ると、中性的な顔立ちの男子生徒が三成たちの方へ視線を向ける。

生徒会副会長の竹中半兵衛だ。


「野球部とサッカー部の件はどうなったかな？」

「はっ、半兵衛様の御手を煩わせる間でもございません。今少しお時間を頂ければ早急にグラウンドから退避させます」

「よろしく頼むよ。全ては秀吉がこの学園を強くするためだ」


半兵衛に頭を下げながら三成は自分の席へ向かい、シール型のGPSの位置が表示される機器をすぐさま制服のポケットに入れて生徒会室を後にした。


廊下へ出た三成は先程取ってきた機器に電源を入れ、位置情報を確認する。
左近たちは興味津々にその機器の画面を覗き込んだ。


「……もしかしてこの赤く点滅してるやつが鍵の在処？こんなの見つけたも同然っスね」

「行くぞ。今は時間が惜しい」

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