乙女の憂鬱2 ページ34
鶴姫からようやく訳を聞いたAは困り顔で話の内容を整理する。
「えっと、つまり直虎ちゃんは彼氏が欲しいと?」
「べ、別にそういう訳では……!ただ、将来性のある男ならば交際を考えてやっても……」
次第にいつもの凛とした声が弱々しくなっていく。
顔を背けて忙しなく指先をもじもじしている姿はまさに乙女そのものだ。
「気になっている人とかいないの?」
「この学園でか?いるわけがない!」
学園内の男子生徒の名前を手当り次第挙げるが、直虎は「チャラい」だの「趣味に没頭し過ぎて将来絶対家庭を顧みない」だのと言葉を繰り返すばかり。
それに違和感を覚えたAはしばらく考え込んでいたが、ふと首を横に傾げた。
「うーん……なんか話を聞いてると第一印象で決めつけちゃってる感じがする」
「それはどういうことだろうか?」
「左近なんかは中学校の時から仲良いから分かるけど、ああ見えて結構根は真面目だよ。確かに賭け事好きだけど何だかんだで自分をコントロール出来てるって感じ?大谷先輩も初めは性格悪そうだなって思ってたけど本当は面倒見いいし、竹中先輩も優しいし、豊臣先輩も見た目怖いけどリーダーシップがあって何でもこなせるイメージが……」
Aがはっとして二人を見ると、直虎も鶴姫も目を丸くして話を聞いていた。
「A殿って、生徒会の連中に弱みを握られているのか……?」
「違うよ!本心だよ!弱み握られたりしてないから!大丈夫だから!」
「だったら尚更彼氏さんとの関係が不思議です。私も実は石田さんに弱みを握られているんじゃないかって思ってました。ちょっと思ってただけですよ!」
「確かに三成に関しては色々言いたいことあるけど、まあ……分からないところはちゃんと教えてくれるよ。教え方上手いし。融通が効かないけど自分をしっかり持ってる。正直、そこは羨ましいし尊敬する。三成は、私に無いものをたくさん持ってる。だからこそ……」
Aはそこで口を閉じた。
言いかけた言葉を酸素ごと飲み込んで、へらっと恥ずかしそうに笑う。
「ごめん。なんか惚気みたいになっちゃったね。忘れて」
61人がお気に入り
「ヤンデレ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!色々重なってバタバタしていましたが最近はだいぶ落ち着いてきました。以前の更新形態に戻れるよう少しづつではありますが精進します(*´∀`*) (2020年7月6日 14時) (レス) id: fa2fc96bb4 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - シナシグさん» ありがとうございますm(__)m無理しない程度に頑張ります! (2020年7月6日 14時) (レス) id: fa2fc96bb4 (このIDを非表示/違反報告)
紫月姫(プロフ) - お知らせ&このコメ見ました。お悔やみ申し上げます。無理せず落ち着いてからで構いませんよ?(*^^*)その間に色んな三成さまを拝みに行ってきます!変なコメントで失礼致しました! (2020年7月3日 21時) (レス) id: 9da1b7754e (このIDを非表示/違反報告)
シナシグ(プロフ) - 三楓さん» そうだったのですね...お悔やみ申し上げます。気落ちすると色々マイナスに考えがちになってしまうので無理せず自分の好きな事をしたりしてリフレッシュしながら頑張って下さい!一読者ですが応援してます!(っ`・ω・´)っフレーフレー!!! (2020年7月1日 22時) (レス) id: 63a06f166a (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - シナシグさん» コメントありがとうございます!実は最近身内の不幸がありまして慌ただしくしておりました。ようやく少し落ち着き、これから心の整理のためにも物語を書きたいと思います(*´∀`*) (2020年7月1日 3時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三楓 | 作成日時:2020年5月21日 0時