待ち合わせ ページ22
翌日。
近場のカフェを待ち合わせ場所にし、約束の時間よりも先に到着していた三成は何やら気落ちしている様子だった。
落ち着かない様子で時間を確認したり、何度も窓の外を見ている。
「なんかソワソワしてるっスね。緊張してんのかな三成様」
カフェの奥の席でサングラスをかけたまま雑誌を読むふりをして三成を見ていた男は同席していた男に尋ねる。
言うまでもなく左近と吉継だ。
「恐らくAが待ち合わせ場所に来るまでの間何人の男とすれ違うか案じているのだろう」
「その説ありそうっスね。あ、そうだ刑部さん、Aが待ち合わせ場所に来た時の三成様の第一声なんて言うか賭けましょうよ。勝った方がここを奢るってことで」
「ヌシは隙あらば賭け事に興じるか。ヒヒッ、まあたまには乗ってやろう」
「俺は「来るのが遅い」って言うと思いますね」
「そうさな、我は何人とすれ違ったか尋ねるに賭けよう」
するとカランッとカフェのドアに取り付けられたベルが鳴る。
気落ちしていた三成がはっと顔を上げるとドアには私服姿のAが立っていた。
「いらっしゃいませ」
女性店員の声が店内に響く。
「あの、ここで待ち合わせしていて……あ、いた」
Aは三成に気がつくと軽く手を振った。
「早めに来たつもりだったけど三成の方が早かったね」
彼が座っている席に腰を下ろしたAは着ていた上着を脱いで「今日は夏並みに暑くなるんだってさ」と他愛もない話をし始めた。
「早いよね。つい最近まで春だったのにもう夏になりかけて……三成?」
ぼんやりとしていた彼の目の前で手を振ってみる。
「おーい、どうしたの?」
「やはり所有している服をいくら把握していようとも実際に着ている姿を見ればまた違った新鮮さが」
「今サラッととんでもないこと言った自覚ある?」
予想外の第一声に、雑誌で顔を隠しながら笑いを必死で堪えている左近と、オーダーした飲み物を飲む吉継。
「だがなA、あまり肌を露出させるな。出来れば次からは防護服を着てこい」
「持ってないし流石に暑過ぎて死ぬわ」
あまりにも真面目に言う三成と的確過ぎる正論を噛ましたAの発言に特に意味もなくツボった吉継は飲んでいた飲み物が気管に入って激しく咳き込んだ。
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三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!色々重なってバタバタしていましたが最近はだいぶ落ち着いてきました。以前の更新形態に戻れるよう少しづつではありますが精進します(*´∀`*) (2020年7月6日 14時) (レス) id: fa2fc96bb4 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - シナシグさん» ありがとうございますm(__)m無理しない程度に頑張ります! (2020年7月6日 14時) (レス) id: fa2fc96bb4 (このIDを非表示/違反報告)
紫月姫(プロフ) - お知らせ&このコメ見ました。お悔やみ申し上げます。無理せず落ち着いてからで構いませんよ?(*^^*)その間に色んな三成さまを拝みに行ってきます!変なコメントで失礼致しました! (2020年7月3日 21時) (レス) id: 9da1b7754e (このIDを非表示/違反報告)
シナシグ(プロフ) - 三楓さん» そうだったのですね...お悔やみ申し上げます。気落ちすると色々マイナスに考えがちになってしまうので無理せず自分の好きな事をしたりしてリフレッシュしながら頑張って下さい!一読者ですが応援してます!(っ`・ω・´)っフレーフレー!!! (2020年7月1日 22時) (レス) id: 63a06f166a (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - シナシグさん» コメントありがとうございます!実は最近身内の不幸がありまして慌ただしくしておりました。ようやく少し落ち着き、これから心の整理のためにも物語を書きたいと思います(*´∀`*) (2020年7月1日 3時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2020年5月21日 0時