太陽と蝶 ページ8
小田原の役で豊臣秀吉が死してから、天下は二分した。
東軍として東を束ねる家康に対抗して、三成は西軍として西を束ねることを決意。
その第一歩として雑賀衆という傭兵集団を味方につけようとしたが、家康の方が一足早かった。
そうなると次の手は……。
「三成、安芸の毛利元就と手を結ぶべきだ。あの男は聡い。手を組んでおいて損はなかろう」
ある日、吉継は中国地方を治める毛利元就との同盟を促した。
三成は特に疑う余地なく、全て吉継に任せることに。
「相分かった。全て我に任せよ。主は総大将らしく屋敷で待機しているがよかろう」
そして、正式な同盟を申し入れるために吉継は安芸へ向かう。
彼の見送りを済ませたAは下げていた頭をゆっくりと戻し、閉じた正門をじっと見つめていた。
否、本当に見ていたのは先程安芸へ向かった吉継の残像だ。
「(毛利元就……。安芸の安寧だけを望むあの男が、西軍への加担を前向きに考えているだなんて。きっと大谷吉継共々良からぬことを考えているに違いない)」
Aは吉継たちの会談に疑心を抱く。
一体何が話し合われているのか気になったが、わざわざ安芸まで行って探ろうとは思わなかった。
仮に探る気があったとしても、実行はほぼ不可能に近い。
なんせ屋敷には忍びよりも厄介な相手がいるから。
「(……やけに視線を感じる)」
違和感を感じて後ろを振り返ると、屋敷の中からAを見つめる男が一人。
言うまでもなく、三成である。
「大谷様は先程安芸へ向かいましたよ」
「知っている」
「石田様は同行しなくてよかったのですか?」
「刑部に任せておけば問題は無い。それに、毛利は苦手だ」
ほとんど面識がない相手に対して、嫌悪感を露わにする。
相手の発言を鵜呑みにしてしまうほど素直な三成と、決して本性を見せない元就。
まさに水と油のような相性なのだろう。
だから、悪知恵が働く吉継が代わりに動いている。
「(……やはり裏で糸を引いているのは大谷吉継で間違いないみたい。さて、どうやってあの厚い化けの皮を剥がそう……)」
Aが少し考え込んでいると、屋敷の中にいた三成は中々屋敷へ戻らないAを不自然に思った。
「どうした、早く中に入れ。身体を冷やすぞ」
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三楓(プロフ) - 天智就佐さん» コメントありがとうございます!病んでる三成様を書いているといつも以上にキーボードが捗るので(笑)まだまだ頑張ります(*´∀`*) (2020年4月4日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
天智就佐(プロフ) - 更新頻度が早くて内容が神なんて尊敬します!これからも頑張ってください! (2020年4月4日 17時) (レス) id: b2ae4e5a5c (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 霧雨ルカさん» コメントありがとうございます(*´∀`*)更新頑張ります! (2020年3月30日 19時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
霧雨ルカ(プロフ) - 三楓さんの小説好きです!これからも頑張ってください!!応援してます! (2020年3月30日 13時) (レス) id: 58200a85c8 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!たまには病みかけているところから書きたいなと思いまして...(笑)自分のペースで更新頑張ります!(*´∀`*) (2020年3月28日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2020年3月23日 22時