証明★ ページ7
Aは時々遠くを見ている。
それは何かを憂いているようにも、誰かに思いを馳せているようにも見える。
私ではない“何か”をずっと見つめている。
それが酷く忌々しい。
私以外のことでAの心が支配されているのが……気に食わなかった。
「A」
今日もAは上の空だ。
私が声をかけるまで私の存在に気が付かないほど。
「はい。何でしょう?」
「何を考えていた?」
「……いいえ、何も考えていませんよ」
微笑む。
そのいじらしさに惑わされそうになったが、同時にその胸の内を明かしてくれないもどかしさに苛まれた。
ああ、どうしたらAの心を留めておけるだろうか。
何をしたら私のことだけを考えてくれるだろうか。
『私が何を考えていたのか、そんなに知りたいんですか?』
白い空間の中で、Aが問う。
そうだ。私は貴様の胸の内が知りたい。
何に心を奪われ、何に憂いているのか知りたい。
『そんなの……全て石田様のことに決まっているじゃないですか』
私から視線を逸らして恥じらうように呟くA。
……それが全て夢だと知った途端、一気に羞恥心の嵐が起こった。
どうやらそのことばかり考えていたせいで、妙な夢を見てしまったようだ。
いやしかし、昔から夢に想い人が現れると相手もこちらを想っていると言うではないか。
だからきっと……Aも私のことを……。
互いに想い合っているというのに、私からAへ直接この想いを証明することは出来ない。
何もしないことが何よりの証明となるのだから。
故に、「罰」と称したあの口付けは、Aなりに私のことを慕っていると伝えるための行動だったのかもしれない。
未だ口元に感触が残っている。
火傷しそうなくらい熱かった。
本能に身を任せて喰らいついてしまいたいと思った。
灼熱ごと呑み込んで、その熱で死んだ私の心を火葬してしまいたかった。
息苦しい。
正気と狂気の狭間にいる私は、今日も家康への復讐に駆られながら、Aへの愛情に身を焼くことになるだろう。
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三楓(プロフ) - 天智就佐さん» コメントありがとうございます!病んでる三成様を書いているといつも以上にキーボードが捗るので(笑)まだまだ頑張ります(*´∀`*) (2020年4月4日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
天智就佐(プロフ) - 更新頻度が早くて内容が神なんて尊敬します!これからも頑張ってください! (2020年4月4日 17時) (レス) id: b2ae4e5a5c (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 霧雨ルカさん» コメントありがとうございます(*´∀`*)更新頑張ります! (2020年3月30日 19時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
霧雨ルカ(プロフ) - 三楓さんの小説好きです!これからも頑張ってください!!応援してます! (2020年3月30日 13時) (レス) id: 58200a85c8 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!たまには病みかけているところから書きたいなと思いまして...(笑)自分のペースで更新頑張ります!(*´∀`*) (2020年3月28日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2020年3月23日 22時