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探り合い ページ26

Aの部屋からただならぬ気配を感じた吉継が様子を見に行くと、そこには三成がいた。


「……三成、こんなところで何をしておる」


呼んでも返事は無かった。
ただ、虚ろな瞳でこちらを振り返った。

三成が手にしていたものは文だ。
恐らく官兵衛とAが密かに交していた文。


「(……だからあの娘は止めておけと忠告したというのに)」


吉継は呆れ哀れむ。

あれだけ執心していた女に自分以外の男の影があればヤキモチどころでは済まないだろう。
妬みという業火で無惨なほど黒焦げになったモチは食べることさえ出来ない。
いくら頑張って味付けしても、元に戻ることは無いだろう。

さて、軽く恐惶状態になっている三成が目の前にいるわけだが。
これも想定内だ。狼狽える必要は無い。


「主はどうやら酷く錯乱しているようだ。原因はその手に持つものか?……それをずっと手にしていたままでは苦しかろう?主の手で燃やしてやるとよい」


虚ろな瞳のまま、文を抱えた三成はゆらりと外へ出る。

吉継は、一瞬でも目を離せば暴走しかねない彼の背を追った。


Aが大事に保管していた文が、真っ赤な炎で燃やされる。
黒炭になって、その炭は火の粉と宙を舞踊っていた。
吉継はそれを見ながら低い声で三成に提案する。


「三成、九州への遠征を早めるぞ」

「……何故だ」

「徳川が暗の元へ使者を出していると報告があった。雑賀衆の件もある故、これ以上徳川に先を越されては西軍の立場が無い。それに、憂さ晴らしには丁度よかろう」


ニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

三成は気の毒だったが、彼が見えない相手に殺気立っている今こそ、都合がいい(・・・・・)


「(さて暗よ、主の伸びきった鼻を再びへし折ってやらねばなァ?)」

遠征→←軽挙妄動



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三楓(プロフ) - 天智就佐さん» コメントありがとうございます!病んでる三成様を書いているといつも以上にキーボードが捗るので(笑)まだまだ頑張ります(*´∀`*) (2020年4月4日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
天智就佐(プロフ) - 更新頻度が早くて内容が神なんて尊敬します!これからも頑張ってください! (2020年4月4日 17時) (レス) id: b2ae4e5a5c (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 霧雨ルカさん» コメントありがとうございます(*´∀`*)更新頑張ります! (2020年3月30日 19時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
霧雨ルカ(プロフ) - 三楓さんの小説好きです!これからも頑張ってください!!応援してます! (2020年3月30日 13時) (レス) id: 58200a85c8 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!たまには病みかけているところから書きたいなと思いまして...(笑)自分のペースで更新頑張ります!(*´∀`*) (2020年3月28日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2020年3月23日 22時

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