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立場 ページ16

行きよりも不機嫌そうに帰って来た三成を見て、大坂城の門番たちは肝を冷やす。
これ以上三成の機嫌を損ねさせないよう、楽しげに話していた雑談を止め、速やかに城の門を開けた。

屋敷の敷地内に入っても、未だ秀秋が泣き喚いていた声が耳に張り付いている。

不愉快極まりない。
イライラしている。
何かに当たりたい気持ちが爆発寸前だった。


「Aッ!」


屋敷に向かって声を上げる。
呼んで少し待たされたが、Aが小走りで三成の元へやって来た。


「石田様、お帰りなさい」


Aはいつも笑って出迎えてくれる。
相変わらずその存在が愛おしい。

不思議と爆発しそうだった苛立ちが段々落ち着きつつあった。


「A、このあと何か用事はあるか?無ければ私と__」

「あの、客人がお見えになっていますが……」


気分転換にAと城下町を見物しようと思っていたが、どうやらそう簡単にいかないようで。
三成はタイミング悪く訪ねてきた罪なき客人を心の底から憎んだ。


「……誰だ」

「長曾我部様という方で、同盟の申し入れに来たと。石田様が戻るまで帰らないと仰るので客間へ案内しました」


長曾我部と言う名は知っている。
四国一帯を治める武将、長曾我部元親のことだろう。
元々豊臣と対立していた彼が、豊臣の忘れ形見である三成に同盟を申し込むとはまさに寝耳に水のような話だ。


「はぁ……」


未だ拭えていない苛立ちを抱えたまま、大きな溜め息を吐いて客間へ向かう。

どれだけAとの時間を取りたくても、今は辛抱しなければ。


これも全て、秀吉様の仇を取るため。
裏切り者を制裁するため。
そして、一刻も早くAを安心させるため……。

西鬼の訪問→←煩わしき者



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三楓(プロフ) - 天智就佐さん» コメントありがとうございます!病んでる三成様を書いているといつも以上にキーボードが捗るので(笑)まだまだ頑張ります(*´∀`*) (2020年4月4日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
天智就佐(プロフ) - 更新頻度が早くて内容が神なんて尊敬します!これからも頑張ってください! (2020年4月4日 17時) (レス) id: b2ae4e5a5c (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 霧雨ルカさん» コメントありがとうございます(*´∀`*)更新頑張ります! (2020年3月30日 19時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
霧雨ルカ(プロフ) - 三楓さんの小説好きです!これからも頑張ってください!!応援してます! (2020年3月30日 13時) (レス) id: 58200a85c8 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!たまには病みかけているところから書きたいなと思いまして...(笑)自分のペースで更新頑張ります!(*´∀`*) (2020年3月28日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2020年3月23日 22時

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