空の愛情 ページ13
あの人から送られた文は箱の中に入れて、自分しか分からない場所で大事に保管した。
その後、外出していた三成たちが戻り、何事も無かったように出迎える。
「お帰りなさいませ」
「A、私が不在の間何も無かったか?」
「はい。特に何も」
「私がいなくてさぞ心細かっただろう?」
「……ええ。それはもう__」
未だあの文で気持ちが高揚している。
落ち着いていつも通りにしなければ。
少しでも妙な素振りを見せれば、私は裏切りを忌むこの男に殺される。
……まだ死ぬわけにはいかない。
あの人の勝利が確定するまで、死ねない。
息をするように凶王の機嫌を取る。
手を握りたそうな彼の心を察して、出し惜しみなく両手を差し出す。
冷たい手を握り、心を殺して気があるように振る舞う。
「(ああ……この手があの人のものだったら良かったのに。そしたらこうやって__)」
指先を絡め、慈しむように手の甲を撫でる。
こんなことをしても虚しいだけなのは分かっている。
それでも、気があるように振る舞うには三成をあの人と思い込むのが最善の方法だった。
「A、そこまで私を……」
強く、手を握り返される。
直情までの彼の行動には常に驚かされるが、決して心を許すまいと自らを制した。
何も知らない哀れな人。
その傷付いた心でひたすら空っぽの愛情を求め続けるといい。
念願叶ってそれを手にした矢先、何も無かったことに気が付いて、ただの虚ろを求め続けた自分が愚かだったと死の間際に嘆けばいい。
それが私の悲願。
私がここにいる意味。
薄情。冷酷。下劣。外道。
私がこんなにも醜く染まってしまったのは__。
「石田様、今日もたくさん話を聞かせてくださいね」
石田三成、貴方のせいだ。
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三楓(プロフ) - 天智就佐さん» コメントありがとうございます!病んでる三成様を書いているといつも以上にキーボードが捗るので(笑)まだまだ頑張ります(*´∀`*) (2020年4月4日 20時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
天智就佐(プロフ) - 更新頻度が早くて内容が神なんて尊敬します!これからも頑張ってください! (2020年4月4日 17時) (レス) id: b2ae4e5a5c (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 霧雨ルカさん» コメントありがとうございます(*´∀`*)更新頑張ります! (2020年3月30日 19時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
霧雨ルカ(プロフ) - 三楓さんの小説好きです!これからも頑張ってください!!応援してます! (2020年3月30日 13時) (レス) id: 58200a85c8 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!たまには病みかけているところから書きたいなと思いまして...(笑)自分のペースで更新頑張ります!(*´∀`*) (2020年3月28日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2020年3月23日 22時