賭け ページ10
Aの部屋から自室へ戻る途中、刑部は左近とすれ違った。
そういえば今朝、三成が大阪へ向かう前に「左近を見張っていろ」と言われていたな。
恐らく昨日Aと親しくしていたせいだとは思うが、考え過ぎであろう。
そんな刑部の考えも虚しく、左近は刑部が来た道を辿って行く。
彼はAの部屋の前で止まり、そのまま障子を引いて中へと消えて行った。
……単に左近の方が歳が近いから何かと話が合うだけだろう。
まさか、な。
*******
「やっほーA！夕餉までまだ時間あるから少し居させてくんね？お、やけにご機嫌ッスね。なんかいい事でもあった？」
刑部と入れ違いにやって来た左近は、交換した包帯を片付けるAに問いかけた。
「えっ、私そんなに分かり易いですか？」
「分かり易いも何も、Aはすぐ態度に出るし。ってかさ、俺が博打してんの三成様にチクっただろ！？」
「それは自業自得です。予算の見直しを手伝わされる私の身にもなってください」
「くぅーっ、厳しい！」
おどけて額に手を当て、俯く左近。
顔が下を向いたその瞬間、彼はガリッと奥歯を噛んだ。
……あーあ、三成様や刑部さんの手伝いは大変だろうから少しでも楽にしてあげようと思ってたのに、まさか予算の見直しにまで関わるなんて。
知ってたらやってねぇし。
余計に苦労かけさせるとか俺最低じゃんか。
「なんかごめんな。これから気ぃつけるわ」
「はい。三成様や刑部様も普段お忙しいですから、あまりハメを外しませぬよう」
「逆にAはもっと休んだ方がいいと思うぜ？ずっと佐和山にいるとしても何だかんだ動いてばっかしょ？」
「ありがとうございます。実は刑部様も三成様が戻ってこられたら休みを頂けるよう頼んでみてはと仰ってくれたのです。それで京へ参ろうかと」
「あ、それで機嫌良かったのか。……ちなみに、それ誰と行くんだ？A一人じゃ迷子になるだろ？」
「絶対に行けると決まった訳では無いのでそこまではまだ……。曖昧な時に誘っても相手の方に迷惑ですし」
……相手の方に迷惑って、もしかして誘う相手は決まってんのかな？
まあ、可能性としては刑部さんか。
三成様はそういうの興味無さそうだし。
「……俺じゃダメなのかな」
「そんなことないですよ？」
「あっ、いや……！今のは独り言で、その……っていいのかよ！？やっぱナシ！独り言って言ったのナシ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三楓(プロフ) - みさきさん» コメありがとうございます(*´∀｀*)私の作品を大好きだと言っていただけて嬉しいです！これからも更新頑張ります！ (2018年6月21日 20時) (
レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
みさき - すごくこの作品大好きですっ！！これからも更新、頑張ってください。応援してます！！ (2018年6月21日 0時) (レス) id: b562f041ed (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» 此度も私の作品を見てくださってありがとうございます！そのようなお言葉をかけて頂き凄く嬉しいです(＞＜。雨や涼しい気候の日は調子がいいようなので、体調を見ながらゆっくり更新していきたいと思います(*´∀｀*) (2018年6月6日 23時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
紫月姫(プロフ) - 喘息大丈夫ですか？ムリせず治療に専念してくださいね？続きはゆっくり待ってます♪(*≧∀≦*) (2018年6月6日 9時) (レス) id: 9da1b7754e (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 長浜美咲さん» 初コメに温かいお言葉ありがとうございます！治療に専念しつつ、完治した際には以前のペースで更新出来るよう頑張ります。それまで今しばらくお待ちいただけると嬉しいです(￣^￣゜) (2018年6月2日 22時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：三楓 | 作成日時：2018年5月7日 0時
