数十年 ページ7
「秀吉様がお帰りになられたぞ!」
大阪城の屋敷に、門番の男の声が響く。
その声を聞きつけた屋敷内の人間のほとんどが外へ出て、豊臣軍を出迎えた。
Aも少し遅れて、縁側から戻って来た秀吉達を見ていた。
誰もが勝利を祝う中、ある兵が「姫様」とAを訪ねた。
「姫様にお目通りを願いたいという方が」
A「利休さんですか?」
「いえ、それが…」
「天守閣もすごいが屋敷もすごいな」
屋敷をきょろきょろしながら兵の後ろに現れた青年。
Aはすぐに、この人物が豊臣の者でないと悟った。
A「あの…どちら様ですか?」
「ん?ああ、失礼。秀吉公に事情を話したら少しだけ従兄妹に会っていいと言われてな。姫君、Aという者がどこにいるかご存じだろうか?」
「徳川殿、この方がA様でございます」
兵は無礼だとでもいうような顔をしながら徳川殿と呼ばれる人に答えた。
「え、A?貴方がAなのか?」
A「えっと…徳川家康様ですか?」
家康「そんな他人行儀は止めてくれ。昔みたいに竹千代と…」
A「今なんと!?」
Aは飛びつかんばかりの勢いで目を丸くしていた。
すると家康は何かを思い出したように…
家康「A、あんまりうろうろするんじゃねぇ!怒られるの儂なんだからな!……なんてな」
家康は、恥ずかしそうにはにかみながら当時よく言っていた言葉を言って見せた。
A「竹千代…竹千代君だ…!わっ、えっ…全然分からなかった」
家康「ははっ、叔父殿にも言われたよ。儂からしてみればAも随分おしとやかになって分からなかったが」
A「お、おしとやかってそんな…」
竹千代の頃の面影は少しばかりあるものの、男らしく成長した従兄妹にAも動揺を隠せなかった。
A「なんか、もう竹千代君って呼べない感じになった…じゃなくて、なりましたね」
家康「そうか?儂は昔みたいに接してくれた方が嬉しいんだがな。身分なんて関係ない。儂らは今までそうしてきただろう?」
A「竹千代君がそういうなら…」
久しぶりの再会。
思わずAが笑みを浮かべた刹那、気が付けば銀色に光る何かが家康の目の前に突き立てられた。
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三楓(プロフ) - 星砕さん» 返信が遅れて申し訳ございません。最後まで閲覧頂きありがとうございます!主人公にとっては中々残酷な結果となってしまいましたが..( ̄▽ ̄;)こちらこそ楽しんでいただきありがとうございました! (2020年8月15日 23時) (レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - はじめまして。本日一気に読ませていただきました。とても面白かったです!先の読めない展開に終始ドキドキしっぱなしで…………最後のシーンは「あ!そうなる!?」とびっくりしてしまいました笑。素敵な作品をありがとうございました (2020年8月13日 21時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SAKINAさん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございました(*´∀`*) (2017年10月30日 10時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
SAKINA - みっちゃんなら遣りかねない物語ですね。ヒロインの生き死に胸を鷲掴されました。読みごたえ十分です、どうもありがとう。 (2017年10月5日 20時) (レス) id: c9c7499e31 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SCP-114514さん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ (2017年9月10日 12時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年8月29日 16時