証明 ページ12
拒絶されたことで我を忘れた三成は、己の中で作り上げたシナリオを真実だと思い込んでしまっていた。
A「私はそのようなことは思っておりません!三成様を邪魔だなんて…」
三成「だが先ほど貴様は邪魔をされたら嫌だと言ったではないか。それはつまり、私を邪魔だと言っているも同じこと」
A「あ、あれは…もう少し配慮をという意味で…」
三成「配慮をして、私を引き剥がしたいのか?もう自分を人質として狙う叔父が死んだから私は用無しだと?」
その一つ一つの言葉がAに重く圧し掛かる。
違うのに、そうじゃないのに。
その思いをバネにして、Aは勇気を出して声を上げた。
A「ここまで私を守ってくださった三成様を、用無しだと思う訳がないじゃないですかっ!」
珍しく声を上げたAに、三成も思わず目を丸くしていた。
A「竹千代君は…竹千代君はどちらかと言うと兄上のような存在で、ただ尊敬しているだけなんです。幼いころから実の兄上は家督を継ごうと剣術や学問に時を費やし、兄妹らしいことなんてしていません。竹千代君だけが、私の唯一の遊び相手で…」
この気持ちが三成に伝わっているか不安で、先ほどまで堪えていた涙が再び溢れそうになる。
その涙も、Aは必死で堪えた。
それで「そうか。私が悪かった」などと寛大になれる心の余裕など今の三成にはなかった。
三成「…だったら証明して見せろ」
A「証、明…?」
三成「家康に好意が無いという証明をしてみせろ」
A「ど、どうやって…」
凍てつくような瞳がAを射る。
そして次の言葉も、非情で残酷だった。
三成「この場で帯を解け」
A「えっ…?」
三成「家康に好意が無いならば、許嫁の私と夫婦の務めの真似事くらいは出来るだろう?」
A「そ、そんな急に!」
三成「また私を拒むのか?A、忘れたわけではないだろう?私は貴様の家族なんぞどうだって出来る立場だと言うことを」
黙り込んだAに、三成は光無い目で口角だけ笑ませながら追い打ちをかけた。
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三成「Aは、私専用の愛玩道具だろう?」
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三楓(プロフ) - 星砕さん» 返信が遅れて申し訳ございません。最後まで閲覧頂きありがとうございます!主人公にとっては中々残酷な結果となってしまいましたが..( ̄▽ ̄;)こちらこそ楽しんでいただきありがとうございました! (2020年8月15日 23時) (レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - はじめまして。本日一気に読ませていただきました。とても面白かったです!先の読めない展開に終始ドキドキしっぱなしで…………最後のシーンは「あ!そうなる!?」とびっくりしてしまいました笑。素敵な作品をありがとうございました (2020年8月13日 21時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SAKINAさん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございました(*´∀`*) (2017年10月30日 10時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
SAKINA - みっちゃんなら遣りかねない物語ですね。ヒロインの生き死に胸を鷲掴されました。読みごたえ十分です、どうもありがとう。 (2017年10月5日 20時) (レス) id: c9c7499e31 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SCP-114514さん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ (2017年9月10日 12時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2017年8月29日 16時