同じ刻 ページ18
Aが部屋で左近と会っていた丁度その頃、いつもは左近と稽古を始めている時間帯に三成の姿は何故か台所にあった。
三成「ああ、これでいい。無理を言ってすまなかった」
並べられた料理は大体同じものだが、一つの膳だけ明らかに献立が違う物がある。
よく見ると、全てAの好みの物ばかりだった。
そう、三成は改めてAに謝罪しようとわざわざ朝食を彼女の好きなものにするよう頼んでいたのだ。
三成「(この程度でAが私を許すとは思わないが…)」
Aは優しいから、ちゃんと話を聞いてくれさえすれば、また以前のような関係に戻れるかもしれない。
三成はそうなることをただ願っていた。
「ああ、何も三成様自らが運ばずとも…」
三成「構わん」
自分で膳を運ぶなど、幼いころ寺にいた時以来かもしれない。
三成「(Aは…喜んでくれるだろうか?)」
切なげな笑みを浮かべ、部屋に来た三成だったが、そこにAの姿はなかった。
Aに風邪を引かせぬようにと被せておいたはずの自分の羽織だけがあって、肝心のAがいない。
三成「…顔でも洗いに行ったのかもしれんな」
最初はそう思って膳を置いた三成だったが、一向に戻ってこないAを段々心配する。
昨夜あのようなことをしてしまったのだ。
未遂とはいえ、Aは怯えていた。
もしかしたらこの部屋にはもう戻ってこないのかもしれない。
そう思えば思うほど罪悪感で胸が苦しくなって、三成はAを探しに部屋を出た。
*******
三成が最初に向かった場所は、渡り廊下の先にあるAの部屋。
もしかしたら自室に戻ったかもしれない、という考えが最初に浮かんだようで。
入る前に、部屋の前で彼女の名を呼んでみた。
三成「A、居るか?話がある」
返事も何もない。
障子を開くとそこには、無残にも荒らされた部屋。
しかし、三成はさして驚きもしなかった。
荒らされ方が、何かを探しているのを物語っていたから。
三成「(…秀吉様にAの部屋を変えてもらう許可を取りに…)」
いやそれは後でもできる。
今はAを探して謝る方が先だと、三成は再びAを探した。
45人がお気に入り
「ヤンデレ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三楓(プロフ) - 星砕さん» 返信が遅れて申し訳ございません。最後まで閲覧頂きありがとうございます!主人公にとっては中々残酷な結果となってしまいましたが..( ̄▽ ̄;)こちらこそ楽しんでいただきありがとうございました! (2020年8月15日 23時) (レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - はじめまして。本日一気に読ませていただきました。とても面白かったです!先の読めない展開に終始ドキドキしっぱなしで…………最後のシーンは「あ!そうなる!?」とびっくりしてしまいました笑。素敵な作品をありがとうございました (2020年8月13日 21時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SAKINAさん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございました(*´∀`*) (2017年10月30日 10時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
SAKINA - みっちゃんなら遣りかねない物語ですね。ヒロインの生き死に胸を鷲掴されました。読みごたえ十分です、どうもありがとう。 (2017年10月5日 20時) (レス) id: c9c7499e31 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SCP-114514さん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ (2017年9月10日 12時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三楓 | 作成日時:2017年8月29日 16時