待人 ページ1
A「無血開城、ですか?」
翌日、三成が徳川の城に兵を進めているであろう同じ頃、大阪城にいるAに三成からの文を届けに来た兵は、現在の戦況をAに報告した。
「昨夜徳川の使者が参られまして降伏を申し出てきたのです」
A「それは叔父上様が?」
「いえ、恐らく徳川家康殿かと」
A「徳川、家康...」
聞きなれない名前にAはうーんと顔をしかめた。
A「もしかして竹千代君ですか?」
「いえ、そこまでは...」
A「そうですよね」
徳川家康は竹千代の兄なのかもしれない。
兵から受け取った文を親指で撫でながら、未だ戦場にいる三成の事も気になった。
A「と言うことは、今その城に父上と三成様が向かっていらっしゃるのですね」
「はい。ですが...」
兵は言葉を濁した。
何かを躊躇うように下唇を噛み締めている。
A「どうかなされましたか?」
「無血開城には条件がございまして...それを向こうが呑まなければ真っ先に城を攻め落とすと。その条件というのが...」
生温い風がAの耳元を横切る。
そのぞわりとした感触が非常に不快感を覚えた。
A「正室様と義兄上方、叔父上様の首も差し出せと...?」
「...はい。幸い、降伏した徳川家康は豊臣に下るということで首を差し出せとまでは言われませんでしたが...」
A「...そうですか。竹千代君も無事だといいのですが...」
「誠にお心痛むかと思いますが...」
A「いえ、今は戦場にいる皆様の武運をお祈りするしか他ありません。すぐに三成様へ返事を書きますね。あ、筆勝手に使っていいのかな...?」
降伏したというのならば、もう自分の部屋に戻っても大丈夫だろう。
そう解釈して、Aは数日ぶりに自室へ足を運んだ。
45人がお気に入り
「ヤンデレ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三楓(プロフ) - 星砕さん» 返信が遅れて申し訳ございません。最後まで閲覧頂きありがとうございます!主人公にとっては中々残酷な結果となってしまいましたが..( ̄▽ ̄;)こちらこそ楽しんでいただきありがとうございました! (2020年8月15日 23時) (レス) id: 6c61a6d02b (このIDを非表示/違反報告)
星砕(プロフ) - はじめまして。本日一気に読ませていただきました。とても面白かったです!先の読めない展開に終始ドキドキしっぱなしで…………最後のシーンは「あ!そうなる!?」とびっくりしてしまいました笑。素敵な作品をありがとうございました (2020年8月13日 21時) (レス) id: 567175ed17 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SAKINAさん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございました(*´∀`*) (2017年10月30日 10時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
SAKINA - みっちゃんなら遣りかねない物語ですね。ヒロインの生き死に胸を鷲掴されました。読みごたえ十分です、どうもありがとう。 (2017年10月5日 20時) (レス) id: c9c7499e31 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - SCP-114514さん» コメありがとうございます!最後まで読んでくださりありがとうございましたヽ(*´∀`)ノ (2017年9月10日 12時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三楓 | 作成日時:2017年8月29日 16時