アシャ ［ヒロアカ］

戦闘演習５（個性を答えよ） ページ9

「ということで、千里は見事クリアすることができた。

　が、忘れてないだろうが千里の個性を答えてもらうぞ。回答権は一人一回だ」

「えー！？ 一回だけ？」

　芦戸が叫ぶと先生はさらに付け足した。

「なお、誰も当てられなかった場合外周10周な」

　全員の顔が一瞬で青ざめた。上鳴が抗議する。

「そんなこと聞いてないですよ！！」

「だろうな、今言ったからな。

　それに、相手の個性を判別出来ないなら力をつけるしかないだろう。さあ、嫌ならしっかり考えて一人ずつ答えろ」

　最初に手をあげたのは切島だった。

「はい！ 筋肉を強くする個性だ！」

「なぜそう思った」

　言葉につまる。

「えっと……スッゲー動いてたから？」

「ハズレだ。お前ら、答えるときは理由も言えよ。自分の発言は自分で責任をもて」

　その後も足が速くなる、力をためられる、物を投げると必ず命中するなど、後半に見たAの身体能力の高さに目を奪われた回答が続いた。

轟「空気を噴射してすばやく動く」

「違う」

梅雨「人間以外の生き物の能力を持っている？」

「違う。そしてそれはお前の個性だろ」

「ヤバい。もうほとんどのやつ答えちまったぞ」

「外周10周とか走りたくないよ！ 誰か助けて！！」

　上鳴と芦戸が焦って言うと一人手があがった。

「緑谷、答えろ」

「はい。たぶん耳がいい個性だと僕は思います」

　全員が出久の方を向く。

「てめぇ！ さっき力を活性化させるとか自分で言ってたろ！！」

「いっ、言ったけど相澤先生と戦ったとき動きが鈍くならなかったから違うと思ったんだ。

　それで他に気になるところを探したら、千里さんいいタイミングでロボを避けてたでしょ？

　最初の方でロボが部屋に入るのを見ていないのにその瞬間駆け出したし、角から曲がってきたときも見つかる前に部屋に隠れた。

　きっとロボの動く音が聞こえていたから、こうやって対応できたんだよ」

「じゃああの身体能力はどう説明すんだよ？」

「……それは、地力として認めるしかないよ。さっきも言ったけど相澤先生の個性では消えなかったんだから」

「そうだ。あれはこいつ自身の力だ。

　そして、長々と悪いが緑谷違う」

「えっ」

「だが考え方はいいぞ。これを踏まえて他のやつ、答えろ」

　しかし誰も手をあげなかった。

「まさか、デクくんが最後？」

「それじゃあ全員着替えて昇降口に……」

　そのとき後ろの方で手があがった。


　――――常闇踏陰だった。

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