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そんな日々も僕が社会人になってすぐに破綻した。
一人暮らしを始めた僕に過干渉する先生にうんざりし、突き放した。
癇癪を起こした僕に手立てはなく、弾みでぶつかった右手に僕は大きく撥ねられテーブルの角に頬を打ち付けた。
先生は気まずそうにした後、また来る。そう言い残し部屋から去った。
僕を気遣う素振りは一切なかった。
自分のことで頭がいっぱいだったのだろう。仕方ないのだろう。これから捨てられる前に逃げなくては、きっとそうだ。
僕は勝手にそう考えた。
朝の足取りは先生の元に行かせてくれるはずもなく、習慣通りに職場に向かう。
ただ明るく挨拶をするだけ、中身のない会話、会話、これを会話と言っていいのだろうか。
昼休みまで耐え抜いたら一人になりたくて手洗いに向かった、一人だと思った横にふと頭一つ小さい人影。同僚が声をかけてきたのだ。
「なぁ、その顔…どうしたの?」
転んだんだ、なんてお決まりの台詞を吐き出そうとした時、見上げられていた彼の眼を見ると先生に似ていた。
こちらを憐れむような、さもお前の悲しみを僕が表現してあげるとでも言わんばかりの表情。
「なんでもないんだ」
辛くその場を去った。
何日かすれば頬の腫れも引き、新たな腫れができないかと考えてしまう。
その後彼と挨拶以外の会話はできなかった。
友達のように過干渉してしまったら、僕は職場を失い、社会的に信用を失う事態になりかねないだろう。
先生が教えてくれたことでもあったそれは重くのしかかり、僕に自制を覚えさせてくれた。
大人になればくだらない枷が増えていき、僕は得る機会を失った。
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さな(プロフ) - しおぱまさん» 相変わらず読みにくい感じですが、反応していただけて嬉しいです!笑 綺麗に終われるように頑張ります” (2019年11月30日 3時) (レス) id: 1fccd3e98c (このIDを非表示/違反報告)
しおぱま(プロフ) - わたしも最近離れてしまっていたのですが、またこうして新しいお話が読めるなんて嬉しいです( ; ; )とても好きな作品の続編、楽しみにしております (2019年11月28日 1時) (レス) id: 48270bbc4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな | 作成日時:2019年11月27日 9時