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『 白石さん、大阪支社になったからよろしくね 』
「 ______ は?」
大学4年、卒業を前に
内定を貰った会社から告げられた配属先。
22年間、東京で育った私は
大阪なんて旅行で1回行ったくらいだ。
地理はおろか、友達だって一人もいない。
「 京治ぃぃぃぃ!!
どうしよう…私、大阪配属になっちゃったぁぁぁ 」
『 あらら、随分遠くになったんだね。ビールでいい? 』
「 寂しいとか言って!!」
配属先を告げられたその日に
幼馴染の赤葦京治を呼び出し、呑みに付き合わせた。
京治と私は家が隣同士で、
高校までずーっと学校も一緒だった。
私にとって京治は、もはや家族のような存在。
唯一、自分をさらけ出せる異性なのだ。
半泣きの私を他所に、
京治は半笑いで追加のビールを注文する。
「 大阪なんて旅行で行っただけだし、
友達だって一人もいないんだよ!?やっていけないぃ… 」
『 全国にある会社を選んだんだから仕方ないよ 』
「 そうだけどさぁぁぁ… 」
『 俺も文芸希望だったのに、少年漫画誌に配属になったし 』
その配属と私の配属では訳が違うと心の中で思いながらも、
京治の正論パンチを素直に受け止める。
「 住む所も決めなきゃだし
知り合い一人もいなくて私、やっていけるかな… 」
『 あの濃い男バレの中でマネージャーやってたんだから、
絶対大丈夫だよ 』
そう、私は梟谷学園男子バレー部の
マネージャーを務めていた。
木兎さんのしょぼくれモードには
京治と一緒によく悩まされたもんだ。
でもそれとこれとはだいぶ違う。
知らない土地に一人で乗り込むなんて
私にとって地獄に自ら足を踏み入れるようなもんだ。
『 大阪か…さすがに俺も大阪なんて ______ あ 、』
「 え!?誰かいる!?」
『 Aの会社、大阪の何処なの?』
「 東大阪 」
私が答えると、心当たりがあるのか
京治はニヤリと笑った。
『 うん、一人いるから連絡しとくよ 』
そう言って、誰かにLINEをし始める。
誰なんだろうと気にかけながらも、
私の目は京治の綺麗な指を追いかける。
「 ありがとぉぉぉぉ!!
お互い30まで独り身だったら結婚しようねぇぇ!!」
『 それは無理 』
「 マジレス 」
京治の知り合いなら変な人はいない。
この際繋がってれば誰でもいい。
この時そう思っていたことを、
私は後からひどく後悔する。
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mini(プロフ) - RIOさん» ありがとうございます!すごく嬉しいです(T_T)これからも頑張ります!! (2021年12月18日 2時) (レス) id: 61e392b41e (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 小説読ませてもらってます!この作品、めっっちゃ面白いです!!なんか、私の願望がそのまま現れた話というか(( 更新楽しみにしてます! (2021年12月17日 23時) (レス) @page6 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2021年12月15日 23時