11: a argument ページ8
お邪魔します、と言って久しぶりに入った佐野の部屋は相変わらずシンプルで物が少なくて、彼の年齢の割に大人びているなと思った。エマちゃんによると、亡くなったお兄さん__詳細は聞いた事がない__の持ち物がほとんどそのまま残っているらしい。
モノトーン基調の部屋に少し緊張しながら足を踏み入れ、適当に座って、と言われる。そもそも男の子の部屋とか入ることがないし、適当ってどこだろう……とちらちら佐野を伺っていると、やがてぱちりと目が合った。何かが可笑しかったのかふっと柔く笑う彼。
「何かたくなってんの？」
「え……あ、いや、ごめん」
「座れよ、ほら」
適当に引っ張りだされた座布団をぽんと叩かれたので、おずおずとそこに座る。なんか、どこからも佐野の匂いがして落ち着かない。前にみんなと入った時は気にならなかったのに……！
早く気を逸らしてしまおうと、「それでなんで急に呼び出したの？」と切り出すと、ほんの少し柔らかくなった雰囲気もすぐに彼から削がれてしまった。急に鋭くなった目付きの先に私は映っていない。そこから紡がれる言葉が怖くなって、私は彼の徐に開かれる唇をじっと見つめていた。
「……パーが、捕まった」
「えっ」
予想していたものと全く違う話題に声が上擦った。
パーくんが、捕まった？捕まったって、警察に、だよね？私はもっと、誰かが大怪我をしたとかそういう話だと思っていたのに……
「ど、どうして？原因は？」
「パーが、愛美愛主の総長の長内を刺して、自首した。1年以上出てこれない、って」
「そんな……」
刺した、という生々しい単語に口を抑えて絶句する。パーくん……何度か話したこともあるし、佐野の後ろに乗せてもらいながら、隣を走っている彼を見るのが好きだった。私を見る度に「おにぎりちゃん」と気さくに話しかけてきてくれたパーくん。とっても友達思いで、ちょっとおバカさんだけど、優しくて。
ケンチンくんと同じで、不良ながら彼なりの信念を持っていたパーくんが、その道を外れて人を刺すだなんて。
(……よっぽど許せなかったんだ)
自分の親友とその大切なひとたちまでボロボロに傷つけた長内という人が、友達思いだからこそどうしても許せなかったんだ。
でも自ら進んで自首するなんて、相当の覚悟があったんだ。だからといって、どんな理由があっても人をナイフで刺して傷つけるなんていうことは許されないけれど。
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泣蜜(プロフ) - あ.....好きです....。未来での夢主ちゃんとマイキーの関係が気になります！毎日更新楽しみにさせてもらってます！ (2021年6月6日 1時) (
レス) id: 9a006c8713 (このIDを非表示/違反報告)
おろし(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！ (2021年5月26日 17時) (レス) id: 47520b13da (このIDを非表示/違反報告)
柚香(プロフ) - 子@さぶ様の表現力素敵すぎます！マイキーかっこいい、、、続き楽しみにしております！ (2021年5月26日 10時) (レス) id: d9354e6a46 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新楽しみです！マイキーの独占欲半端ないかっこよすぎる、、、 (2021年5月25日 17時) (レス) id: 800746c1bf (このIDを非表示/違反報告)
しん(プロフ) - これからの展開にドキドキします...めちゃくちゃ面白くて毎日更新楽しみにしてます！！ (2021年5月25日 1時) (レス) id: cdf270dae3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：子@さぶ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時：2021年5月17日 0時
