13: crazy about you ページ25
本当にいつもの調子で、挨拶か天気の話でもするみたいにかけられた言葉に、私はすぐ反応できなかった。
惚れてる、と____ハッキリそう言われた。照れのひとつもなく、まるで当たり前みたいに。なんの曇りもなく……告白、された。
「え……？」
「うん、惚れてる。スゲー好き」
「……わ、私を？」
「うん、Aが好き。ホントは今も、オマエのこと押し倒してキスしたいって思ってる」
うわっ、といっぺんに熱が顔へ集まった。燃えるかと、思った。いやもう燃えているかもしれない。人間の体ってこんなに熱くなるの？風邪と関係ある？相乗効果でこんなに熱くなってるの？
「ま、待って佐野……ちょっと、待ってよ」
「いーよ、待っても。オマエの頼みなら。どうせ、うんって言わせるし」
「だから待ってってば！」
「何が？今すぐ付き合ってって言ってねーじゃん」
違う違うそういうことじゃない、そんな風に軽い調子で好きを伝えないで欲しいって言ってるんだ！貴方は平気かもしれないけど、私は全然平気じゃない。佐野の言葉のひとつひとつに翻弄されて、今だって恥ずかし過ぎて首から上が無くなりそうだ。
「アハハ、A顔まっか」
「なっ……う、うるさい！もう出てって！」
「そんな顔されて、素直に出てくと思ってんの？言ってんじゃん、オマエに惚れてるって」
頭の上まで被った掛け布団を引き剥がされ、横から身を乗り出されるかのような格好で押し倒された。馬乗りになられている訳ではないけど、それでも恥ずかしいことこの上ない。迫っている彼の影にばくばくと時限爆弾のように鳴り響く心臓は、もう壊れそうで。
泣きそうな目で、困惑しながらただ彼を見上げていると、やがて佐野はぱっと弾かれたように私の上から退いた。
「なーんてね」
「……え？」
ぽんぽん、と頭を軽く撫でられ、佐野は私のベッドからあっさりと退いた。なに……？
「熱出してるオマエ襲う訳ねーじゃん。オレそこまで節操なくねーから」
「あ……」
「じゃーな、A。風邪治ったら覚悟しとけよ」
バタン、と閉められた扉。嵐のように過ぎ去って行った佐野。収まらない熱とか、何度も頭の中で響く彼の声。
『オレ、オマエに惚れてるんだけど』
声にならない悲鳴を上げて布団の上をジタバタ暴れ回った後、私は頭痛と胸の動悸に悩まされ、一晩中布団の上でただただ呻き続けるのだった……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1957人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
泣蜜(プロフ) - あ.....好きです....。未来での夢主ちゃんとマイキーの関係が気になります！毎日更新楽しみにさせてもらってます！ (2021年6月6日 1時) (
レス) id: 9a006c8713 (このIDを非表示/違反報告)
おろし(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！ (2021年5月26日 17時) (レス) id: 47520b13da (このIDを非表示/違反報告)
柚香(プロフ) - 子@さぶ様の表現力素敵すぎます！マイキーかっこいい、、、続き楽しみにしております！ (2021年5月26日 10時) (レス) id: d9354e6a46 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新楽しみです！マイキーの独占欲半端ないかっこよすぎる、、、 (2021年5月25日 17時) (レス) id: 800746c1bf (このIDを非表示/違反報告)
しん(プロフ) - これからの展開にドキドキします...めちゃくちゃ面白くて毎日更新楽しみにしてます！！ (2021年5月25日 1時) (レス) id: cdf270dae3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：子@さぶ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時：2021年5月17日 0時
