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佐野の顔つきが、さっきまでとは比べ物にならないほど緊迫していく。私と一緒にいる時の“佐野”の顔ではなく、“マイキー”の顔になる彼を見て、何かがあったんだとすぐに悟った。
特攻服を着た、喧嘩賭博の一件で揉めた元東京卍會のメンバー、なんとはなしに立ち上る物々しい空気……この祭りの裏で、何かが起こってるんだ。私には皆目見当もつかないその裏側の一端を知ったのか、佐野はすっと顔を上げて電話を切った。
「……行くの？」
「悪い、行かなきゃ駄目だ。ケンチンが危ねぇ」
「ケンチンくんが！？」
あぁ、と言って佐野は踵を返そうとしたが、すぐに振り返って強く私を見つめた。
「後で電話する。オマエは親父さんの所戻ってろ！いいか、絶対に1人になんなよ！」
「う、うん！わかった！」
駆け出した彼の背が見えなくなると、向こうから佐野の低い排気管の音が鳴り響いて来て、何処かへとバイクで消えて行った。私は折れてしまった傘をなんとか小さく畳み、彼の言いつけを守って人通りのある道を選んで祭り会場へと戻った。
父ちゃんは私の格好を見て、ばかやろう、夏風邪はバカが拗らせんだと怒鳴ってタオルを2、3枚投げつけてきて叱った。それ以上は何も事情を聞いてこなかったが、とにもかくにも畳むことのできた店と後片付けを済ませ、私はうまか帝へ戻ってきた。途中、いくつものバイクの排気管の音が外から聞こえてきて、心臓が早く脈打った。群れを成す暴走族の音は聞き覚えがあって、佐野の残した言葉と重なった。
『ケンチンが危ねぇ』
ぎゅっとケータイを握り締め、ただ彼を信じて祈る。どうか、どうか何事もなくみんなが戻ってきますように。私の嫌な予感が、杞憂で済みますように。
どの程度そうしていただろうか、電話ではなく一通のメールが私の元へ届いた。慌てて開くとそれは佐野からのもので、たった一言、病院の名前だけが書かれてあった。少しうちから離れた病院だ。その1文だけで私は様々な要因が頭に浮かび、父ちゃんの許可も取らずに店を飛び出した。いつもの自転車に跨り、とんでもない量の水滴が顔に降り掛かっても構わず、ただひたすらペダルを漕ぎ続ける。
瞼を開けてるのが辛いくらい目の縁に水が溜まって、髪は酷い有様で、動かし続けた足が痺れて、病院に着いた瞬間に自転車を停めることもせずそこへ駆けつけると、東卍の特攻服を着た人たちがギョッとしたようにこちらを振り向いた。
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泣蜜(プロフ) - あ.....好きです....。未来での夢主ちゃんとマイキーの関係が気になります！毎日更新楽しみにさせてもらってます！ (2021年6月6日 1時) (
レス) id: 9a006c8713 (このIDを非表示/違反報告)
おろし(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！ (2021年5月26日 17時) (レス) id: 47520b13da (このIDを非表示/違反報告)
柚香(プロフ) - 子@さぶ様の表現力素敵すぎます！マイキーかっこいい、、、続き楽しみにしております！ (2021年5月26日 10時) (レス) id: d9354e6a46 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新楽しみです！マイキーの独占欲半端ないかっこよすぎる、、、 (2021年5月25日 17時) (レス) id: 800746c1bf (このIDを非表示/違反報告)
しん(プロフ) - これからの展開にドキドキします...めちゃくちゃ面白くて毎日更新楽しみにしてます！！ (2021年5月25日 1時) (レス) id: cdf270dae3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：子@さぶ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時：2021年5月17日 0時
